短編小説
□かみさまがくれたもの
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「今日も雨……ですか。」
雨が嫌いな訳では無いが、毎日続くと憂鬱な気分が募ってくる。
神様も憂鬱な気分なのでしょうか……などと考えるが、所詮神なんて架空の物なのだ。人間の想像と妄想の産物。
こんな捻くれた思考の働きしかしない僕の心は、やはり憂鬱なのだろう。
灰色の傘を広げ、僕の為のちっちゃな空間を作った。
―――閉鎖、空間。
脳裏に過ぎった言葉。
へいさくうかん……?
自分に問い掛けてみるが答えは返って来ない。
当たり前だ、自分で解らない事の返答が自分から返ってくる筈は無い。
しかし。代わりに僕の中の『僕』は静かに告げる。
―――来る。
気が付くと、世界は灰色に塗り潰されていた。