短編小説

□秋桜
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学校から少し離れた公園。
春であるならば、花見の客もそこそこ居る場所なのだが、今の季節なら遊具で遊ぶ子どもくらいしかいないだろう。

少し離れているとは言え、そんなに遠い場所でもない。

「…妥当、だよな?」

一応古泉に確認してみる。

「ええ……。」

珍しく歯切れの悪い返答だ。何か納得いかない所でもあるのか?

「場所に関しては、ここが妥当であると僕も思います。しかし、何故涼宮さんは今の時期に花見……などと、無茶な事を言うのでしょうか?」

確かにそれは俺も気になっていた事だった。
桜は春に咲くってのが自然の法則だ。ハルヒは、そういう所では常識をわきまえている奴……だと思うのだが。

俺は少し考えてから古泉に答えてやる。

「ハルヒが気まぐれなのはいつもの事だろう。テレビで異常気象とかの類の特集でも見たんじゃないか?」

いまいち納得のいかない答えだが、それ以外思い浮かばない。

古泉も、ふむ…と少し考えてから納得する事にしたみたいだ。

「ま、どうであるにせよ、明日を楽しめば良いのです。多分、涼宮さんは花見がしたいのではなく、あなたや僕達と遊びたいだけではないでしょうか?」

そうは思いませんか?と微笑む古泉に、俺も同意した。
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