短編小説
□古泉一樹の作戦
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その時、俺は何が起きたのか理解出来ていた。
しかし、それに納得出来るかどうかというのは別の話で……。
俺の中で、この出来事はいまいちリアルに欠けていた。
だって、そうだろう?
いつだって俺とハルヒをくっつけよくとしていた古泉が、急に皆の前で俺にライバル宣言みたいな事をして、ハルヒに告白するなんて……。
そんな事をぐるぐると考えている間に長門と朝比奈さんは部室を出ていこうとしていた。
「長門、朝比奈さん、どこに行くんですか?」
その質問に対し、「あの…えっと…キョンくん、私にもよく…長門さん?ふえぇ…?」などと長門に手を引かれながら声を発している朝比奈さんと無言の長門。
ドアノブに手を掛け、キィ、と開いた後、長門は顔だけをこちらに向けて言った。
「……古泉一樹の意思を確認して来る。大丈夫、あなたは何も心配しなくていい。ただ……。」
「ただ?」
「……自分の気持ちだけは正直に伝えるべき。」
そう言い残した後、長門は朝比奈さんを連れ部室を後にした。
やっぱりお前はいつでも頼りになる奴なんだな。
さんきゅ、長門。
それに朝比奈さんも。