短編小説

□古泉一樹の作戦
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これは後で明かされた事なのだが、すべては古泉のシナリオだったらしい。

ハルヒを自分が取る、などと言い俺に告白をさせる。そういうシナリオだ。

最後のアレは、ついじれったくなってやった事だと古泉は語っていたが、ちょっとやり過ぎだろ。

「ふふっ、まぁ別にさほど問題は無いでしょう?」

などと古泉は微笑んでいた。

本来ならパンチの一発でも見舞ってやろうかと思ったが、俺達の為にやった事だしな。

代わりに、ありがとうという言葉をあげる事にする。……心の中で、だがな。

古泉が真相を明かした後、3人はニヤニヤしながら「ごゆっくり〜」という言葉を残して帰っていった。

ごゆっくりって。
緊張で出来る訳ないだろ。

「………。」

「………。」

ううっ、沈黙が苦しい。

「……ねぇ、キョン…」

先にハルヒが沈黙を破った。

「ん、何だ……?」

「もう一回……ちゃんと聞かせて?…好きだ、って……」

上目遣いのハルヒは…あ〜もうダメだ!可愛いすぎるぜ畜生!

「……ハルヒ、お前が好きだ。……って、やっぱり恥ずかしいな……」

頭を掻いて照れ隠しをする俺。
ハルヒは俺の耳元で囁いた。

「私も…キョンが好き…大好き…っ」

そしてハルヒは俺の頬にキスを――

「って、ちょい待て!ハルヒ!」

「!?」

さっきの出来事を忘れたのか!?その頬はさっき古泉が……。

「あ……」

どうやらハルヒも気付いた様だ。
何故かくすくす笑うハルヒ。

「な、何だよ……?」

「キョン…妬いたでしょ?間接キスになっちゃうもんね〜?」

く…っ、図星だ。
からかわれるのも面白くないので形勢逆転を試みる。

「その通りだ、ハルヒ…だからさ……」

ハルヒの唇に唇でそっと触れる。

「…っ!」

ハルヒは大きな瞳をいっそう大きく見開いて驚いている。
そして俺はそんなハルヒを抱きしめ、こう言った。

「だからさ、代わりにこっちにしてくれ。……って、もうしちまったか。」

悪戯っぽく笑って見せる。が、俺の心臓はもう爆発寸前だ。

ハルヒは俺に今までにないような微笑みを向け、いつもの台詞を言った。

「バカキョン……っ」

ああ、可愛すぎるんだよお前は。心臓に悪い。

もうお前を離すもんか。絶対に誰にも渡さない。

絶対、離してなんかやらないからな。

その想いを腕に込め、俺はハルヒをいつまでも抱きしめていた。




そんな二人を覗く3つの人影。


「わぁ……上手く行きましたね、古泉くんっ!」

「あなたのお手柄。」

古泉一樹はにこっと微笑み、ウインクを一つ。

「作戦成功、ですね♪」
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