L

□The rainy season with L.
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相変わらずの猫背の恋人の隣で、高級スイートの大きな窓から、淀んだ空と霞んだ景色を眺めた。



分厚いガラスの向こう側には、視界を遮るたくさんの雫。



それを見て無意識に漏れる溜め息。そしてその呼気で曇る窓。







「雨は嫌いですか?」




私の憂欝に気が付いたLが尋ねる。





「だって、こんなどんよりした日がしばらく続くのよ?…見えるものが重たいと気分まで重くなるわ」




そう言ったら、また溜め息が出てさらに目の前が曇った。




「…流石に雨を止めることは出来ませんが」







私の憂欝がつけたガラスの曇りの上を、Lの長くて綺麗な指がなぞっていく。


その動きは流れるように滑らかで、重い気分の半分は、改めて指に見惚れた恋心が消してくれた。





そして一部が透けたガラスに、もっと気分が軽くなる。







「こう考えたら少しは気分が晴れませんか?」



「…うん、楽しみ」



「私もです…それまでは、部屋の中で待ちましょう」




そう言って悪戯っぽく笑ったLと唇を重ねて、窓際から離れた。







憂欝な溜め息とは違う吐息で曇ったガラスには、もう指の跡が残っていないけど


雨上がりを楽しみに待ってる




また窓際から、ふたりで景色を眺めるのを――








―If rain stops, I'll see a rainbow here this time.

雨が止んだら、今度はここから虹を見ましょう


END.


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