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□笑顔は悲しみを隠す為に
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お前は泣きながら俺に言った
『エクソシストになれたのが
幸せ』だと        

神に選ばれて、力を与えられ
人を救えて、俺と出会えた 
お前はそう言って、泣きなが
ら嬉しい、と言っていた  


なら、なんで泣いてやがる?
嬉しいなら笑え      


『嬉しいから泣いてるのっ』


お前は拗ねたように言った 
真っ赤になった顔が俺に向け
られれば、唇に自分を重ねる



「俺は、お前がエクソシスト
じゃない方が良かったけどな
」            
『どうして?私がエクソシス
トだったから私達は出会えた
んだよ?』        
「エクソシストになればお前
は危険な目に合うだろうが」
『………アナタ、本当にユウ
なの?ラビなんじゃない?』
「うるせぇ」       



お前は笑った       
お前は俺を好きだと言った 
愛していると、ずっと一緒に
いたいと         


任務から帰れば、いつもお前
が出迎えてくれた     
『おかえりなさい』    
『お疲れ様』       
長期の任務から帰れば、お前
は部屋に居て、遅い、と一言



『ユウ、この前リナリーがね
っ!』          
『ユウ、アレン君がさっきみ
たらし団子を…』     
『ユウ、ラビが追い掛けてく
るのっ!』        
『ユウ、ユウ、ユウ…』  


名前を呼ばれるのは今まで、
誰だろうと腹がたった   
けど、お前だけは許せた  
呼ばれるたびに振り返り、笑
ったお前の顔が見られる  
それなら名前を呼ばれても良
い、なんて思う      



お前が望むなら、側にいる 
お前が望むなら、生き続ける
お前が望むなら、戦い続ける
お前の望みは、俺の望みでも
ある           
戦いが終わっても、一緒にい
ようと言った       
必ず生き残り、共に生きよう







お前は確かに、そう言った 





『ユウ、あのねっ』    


また何か用なのか     
どうせ、もやしやうさぎのく
だらない話だろうが    
けど、仕方ねぇから振り向い
てやるよ         





また、お前の笑顔が見れると
自惚れていたんだ     

















『死んで?』       











笑顔は悲しみを隠す為に





真っ白だった肌は黒く   
額には十字の聖痕が深くはっ
きりと刻まれている    
そしてお前は笑いながら、泣
いていた         











 

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