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□弱った体を壊してしまいそうで
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寒い冬、あの日は雨が降って
いたのを覚えてる     
なんでも、零番隊の副隊長が
任務先で虚に殺られたらしい

零番隊とは関わりが全くねぇ
知ってるのは、隊長が強いっ
て事と、その隊長がすげぇ美
人って事だけだ      
たまに配達ん時に見かけるが
本当に美人だ       
凛々しいっつーか、隙を見せ
ないっつーか       


あの人には何回か世話になっ
た事がある        
けど向こうは覚えているはず
ねぇんだけどな      
俺はそん時、死神の中の一人
だったから目立つわけねぇ 
まぁ、外見は目立つけどな?




正直なとこ、俺には手の届か
ない人、っつー事だ    
あの人は零番隊の副隊長とデ
キてるっつーし      










あぁ、だからか      
俺の目の前で彼女が泣いてい
るのは          




一度は墓参りしようと、墓地
に来てみりゃ、雨が急に降り
だしてきたんだ      
木の下に入ればそこから見え
る墓の前で立ち尽くす影があ
るのがよく見えた     

体が勝手に動き、雨を気にせ
ずに俺は墓の前まで行った 







『う、ひっ…く…ッ』   





やっぱり、泣いていた   
彼女の涙を見たのは初めてだ
いつもは凛々しい姿で、たま
に優しく笑うから     
彼女が泣く姿なんて想像すら
出来なかった       




「あ、の…」       
『ひくっ…アナ、タは…?』
「…六番隊の阿散井です」 
『…墓参り…?』     
「はい。でも、邪魔なら…」
『いいよ。彼も、喜ぶから』


俯いたまま、彼女は背を向け
て歩きだした       



こんな時くらい、甘えればい
いのに          
泣き叫んで、誰かに縋り付い
て、頼れば良い      
こんな時でも強がるアンタは
強くなんてねぇよ     






強がるだけが、強さじゃねぇ







今すぐその腕を掴み、その小
さい体を抱き締め、泣き叫ぶ
アンタを俺のモノにしたい 

強引にでも        


















った体を    
   
してしまいそうで






明日、会いに行こう    
少しずつで良いから近づいて
いつか、その体を抱き締めて
も良いように       










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