2

□闇の中にある光
1ページ/1ページ




この匂いには結構慣れていた 


アクマ達を連れて、小さい村へ
と繰り出せば、一時間も経たな
いうちに村は焼け野原だ   
生臭い血や死体の匂いにはもう
、嫌っつー程嗅いで来たから変
に慣れた          


アクマを帰らせて、エクソシス
トが来る前に村の中でも探索で
もするか          
まぁ、もう何もないがな   







『お母さんっ…お父さんっ…』



まだ生き残りがいたとはな  
両親を呼ぶ声を頼りに行けば、
全壊した家に下半身を下敷きに
されている人間を見つけた  


可哀想に死ねなかったんだな 




俺はそいつに近づいて、顔を見
てみると驚愕した      
辺鄙な村の人間にしては結構、
いやかなり美人だなこりゃ  






俺のモノにしたい      






「お嬢さん、大丈夫か?」  


恐らくこいつは俺の顔を知らな
いだろうな、だから助けに来た
親切な男として思われるだろう

けど、反応は意外だった   




『そこに、誰かいるの…!?』



襲撃の中、目をやられたんだな
顔は俺を見ているが、その目に
は俺どころか光すら映らない 


『誰かいるならお願いっ!この
近くに、お父さんとお母さんが
いるから、助けてあげてっ!』



予想を裏切るばかりだ    
普通、すぐに自分を助けてくれ
と言うだろ?        
なのにこいつは肉親である親を
優先させた         
身体中痛いはず、目が見えない
はず            



死にかけているはず     




「お嬢さんはいいのか?」  
『私は良いからっ!早くお父さ
ん達を助けてっ!』     


恐いはずだ、目の前が真っ暗で
身体中に感覚がなく、死が近づ
いているのに        
この人間はそれでも、自分以外
の人間を優先するんだな   





『お願いっ…皆を助けてっ…』














の中にある





その光を俺は、欲しいと思った

だから他の人間は助けず、少女
だけを助けた俺は、少女にとっ
て悪魔に見えるだろう    

それでも少女には、光があった












[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ