笑顔を失った人形
□NO.2 瞳に映るモノ
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昨日のように今日もまた、氷帝学園と書かれた校門を通った
「くそー跡部の奴、人にばっか仕事押し付けやがって。」
キャップ帽を前後逆にかぶった少年は悪態をつきながら、まだ生徒の少ない廊下を歩いていた。
するとふっと目に入った光景。
漆黒の長い髪を窓から入る風で靡かせて、その窓から茶色の瞳で外を眺めている少女。
「(確か…昨日の転校生だったか?)」
曖昧な記憶を辿りながら、彼女見る
そこの窓から見えるテニスコート
それを悲しい表情で見つめる少女
「(やべっ…///見とれちまったぜ…)」
不覚にもその美しさに目を奪われた少年。
「(激ダサだなっ…)」
そんな事を考えていると少女は、そのまま窓から離れて反対側にある教室に入って行った。
不思議と感じ取れる。
彼女の目から何かが語りかけてくるよう
その綺麗な瞳に、今まで何が映って来ていたのか
誰も知らない
NO.2 End