≡ アイシールド21 ≡

□Atlantic Ocean
1ページ/3ページ

世にも恐ろしい話をしてあげよう、大西君。

夏にはまだ早すぎる気がするけどな。

この辺りに異常な人間というものが出没するらしい。

流したね。 …まぁいいけど。

何やら、身長が2mを越す日本人をよく見かけるという情報なんだけれども。



Atlantic Ocean



「それはまるっきり僕の事じゃないか」
「あは、バレた?」
「バレたも何も…」

私たちは今、超高層校舎の屋上にて何でもない会話を交わしている。
私の隣にいるのは、大西洋ってひと。
とっても背が高くて、ずっと目を合わせながら会話していると、首が痛くなる。
大西の身長は、確か204cm。
本当に日本人かと疑われても仕方がない。
眼だって青いし、髪は深い金髪だ。
筧君みたいに英語とかスラスラ喋ったら、結構だませるんじゃないかな、と私はひそかに思っている。
でも、目の前のこのお馬鹿なノッポは、それが出来ない。

「大西が私の野望を1つ踏みにじったー」
「…何の話だい?」

独り言のように呟いた私の一言にたいして、大西は不思議そうな顔をする。
私が何でもないよと言うと、大西はそうかいと言って口を閉じた。
…でも、私たちの会話のタネが尽きる事はない。
大平君の話とか、部活の話とか。
止まる事なく、話は弾んでいく。

「…ところで大西ー、授業出ないの?」
「その台詞をそのまま君に返そう」
「私は大西じゃないもん」

私がそう言うと、屁理屈をこねるなと返された。



風はごうごうと唸る。
この建物は周囲のどの建物よりも高い。
故に強い風が吹くのは年中当たり前で
私は、髪を撫で付けた。

「大西って目悪いの?」
「それがどうかしたかい?」
「んー、伊達眼鏡かなとか思って」
「そんなことはない。 ちゃんとした度入りさ」
「え、じゃあその眼の青は、」
「ああ、生まれつきだよ」

そうだったんだ。 私は素直に感心する。
ハーフかな、クォーターかな。 勝手に考えを巡らせていると、ふと大西がこっちを向いた。
海のように青い目が、波のように揺れる。

「…伊達眼鏡の話題の後で唐突だけれど、1つ聞いてもいいかい?」
「? 何?」

吹き抜ける風が、何故かだんだん弱まっていく。

「君…、彼氏とかいたりするのか?」

風が、唸るのをやめた。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ