神動四戦記
□四章
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「四国は三国へ…。」
中国のとある県の地で一人、とある老人が呟いた。
しわくしゃな顔に似合わないが背筋は真っ直ぐとのびている。
「お祖父さま。何処へいかれますか?」
一人の少女が老人の顔を興味津津に覗き込む。
それをちらりと見、嚇侶(カクロ…老人の名)は孫娘である少女の前に何かを突き付けた。
紫色をした布にくるまる長い物。
「これを、東国の麗伯という将へ。」
嚇侶は力強くまだ幼い少女の手にその品を持たせた。
何かを問わずに、少女は一度だけ頷くと嚇侶に背を向け、静かに歩き出した。
小さいながらにしっかりと成長してくれた孫を見て、彼は思わず口元を緩ませた。