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□狂信者の一途な純愛
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この人の為なら死んでも良い。
この人の為に殺されるのなら幸せだ。
本気で本心で……そう思えるのは貴方だけ。
この心も身体も感情も
俺の言動、思想、生き方も、時間すらも
全て 全て 俺というモノの全てが貴方のモノ。
1秒後も、1分後も、1時間後も
1年後も。10年後も、100年後も……俺の死する時も、その後まで
全て 全て 俺というモノの全てが貴方のモノ。
何一つとして俺の自由となるものはない。
全て 全て 全て………………
本当に何もかも、全て貴方に差し出した俺を、貴方はどう思うのでしょうか?


  狂言者の一途な純愛


大きな取引の為に約2週間の中国への出張。
長かった。
10代目に会えない、10代目と離れている1分1秒が苦痛で辛かった。
この取引が上手くいけば10代目に、ボンゴレにとって大きなプラスとなるのは分かっていた。
だからこそ、わざわざ自分が出向いたのだ。
失敗する訳にはいかなかった。
ボンゴレ……いや、10代目の為に。
1秒でも早く10代目の元に帰る為に不眠不休で頑張った。
その甲斐あって、予定より3日早くイタリアに帰る事が出来た。
もうすぐ、もうすぐ、すぐそこに……あの方がいらっしゃる!!
重厚な執務室のドアをノック。

「はい。」

10代目の声に心が踊る。ドアのノブに手を置き、開ける。

「失礼します。10代目。獄寺隼人、ただ今戻りました。」

「おかえり、隼人。報告はきいているよ。ありがとう、お疲れ様。隼人が頑張ってくれたお陰で、予想以上にこちらに良い契約内容に出来たみたいだね。」

机に座り、書類を処理していた10代目は、手を止め顔を上げ、笑顔で迎えてくれた。
その笑顔で心身の疲労が浄化されていく様に感じた。さっきまで鉛の様に重かった身体が軽い。

「ありがとうございます。詳しくは明朝、報告書にまとめさせて提出させて頂きます。」

「明朝じゃなくて良いよ。疲れているでしょ?明後日までに出してくれれば良いからね?」

「しかし……」

「俺、隼人の事もの凄く信頼してるから。隼人が『取引が上手くいった。』って言うなら、これ以上ないくらい上手くいってるって知ってるし。……隼人の事だから不眠不休で頑張ってくれたんでしょ?一緒についていった部下達が「ボス!!あの人本当に生身の人間なんですか!?寝ないで休まないで動き過ぎです!!俺達、獄寺さんについていけないです!!」って泣いてたよ?」

「フンッ…あいつ等は根性が足りないだけですよ。くだらない事を言って10代目を煩わせるなんて言語道断!後でしっかり締めますよ。」

「え〜!?そんな事、言ったら殆どの人が根性ないって事になるよ!絞めちゃダメだからね?隼人の事、きけて俺、嬉しかったし。」

「10代目……。」

「今夜はしっかり休んでね。隼人は俺にとってもボンゴレにとっても、なくてはならない大切な人なんだから!!隼人は明日、丸1日お休みだから。ちゃんと休まないとダメだからね?」

小さい子供に言いきかせる様に、口を尖らせて言った。
そんな表情も最高だ。
10代目の何もかもが素敵で素晴らし過ぎて堪らない。

「……10代目……10代目のお気持ちは大変ありがたいですし、嬉しいです。でも、大丈夫です!明日から、通常業務……10代目の右腕として、10代目の為に働かせて頂きたいです。」
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