novel-old

□※終わらない夜
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「…おい」

「…………」

「……愁一」

「……………」

電気が消えた部屋に瑛里の声しか響かなくなってから、随分経った。
寝てるかと思うほど静かな愁一だが、たまにわざとらしく動くのは、敢えて無視を決め込んでいることを突き付ける為だろう。

事態の原因は余りに簡単で、愁一が泣き叫ぶのも聞かずに好き放題やりまくった先程の行為のせいだ。
終わった途端、痛むであろう身体を気遣う間もなく毛布にくるまって背中を向けてしまった愁一は、それからの瑛里の呼び掛けに全く答えない。
そろそろ放って寝てしまおうかとも思うが、早めに機嫌を直しておかないと後々面倒を引き起こすことは容易に予測できる。

こうして完璧に意地になってしまった愁一は、意外と強情だ。
「…ったく」
「…っ!?」
いい加減この状況に焦れた瑛里は、愁一の肩を掴んで、無理やり上向きにさせるとその身体に覆い被さる。
突然の力ずくの行動に驚いた愁一が見上げてきて、抗議の声を上げようとした唇を自分のそれで塞いだ。
「っふ……」
ねっとりと深い口付けを与えてやれば大人しくなるのは、いつものこと。
ついでに指先で赤く色付いた胸元を弄ってしまえば、途端に切なげな表情になって身を捩る。
「ん…っ、や…ぁっ…」
一気に毛布を剥ぎ取ると一糸纏わぬ白い身体がさらけ出された。
ついさっき自分が付けた痕をうっすらと浮かび上がらせる身体は、鎮まったはずの情欲を再び掻き立てる。
「や…っ、ちょ、まだやる気かよ!?」
見下ろされた瞳に浮かぶ欲に気付いたのか、唇が離れた瞬間に信じられないという声を上げられた。
「いつまでも拗ねてるてめーが悪い」
「なっ…誰のせいだと…」
「ヨガってイキまくってたの誰だっけ?」
さらりとそう言ってやれば真っ赤になって睨み付けられ、あまりにも素直なその反応が可笑しくて、冷酷に微笑んだ。
「…っ、けど!めちゃくちゃ辛かったんだからな!やめろって言ってもきかねぇし!」
「お前のヤメロは本気に聞こえねぇんだよ」
「なんだよそれー!ば、ちょ、マジでやめろってばっ!…ん、ぅ…やぁっ…」
逃げ出そうとした身体を引き止め、鎖骨に浮かぶ痕の上にもう一度口付けた。
点々とした痕を辿って、堅くなっている赤い突起に吸い付く。
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