novel-old

□※あなただけ
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最初は、無理やり。
抵抗する身体を押え付けて、縛られて、口を塞がれた。

「あいつにバラしていいの?」

何かの合言葉のように言われるその台詞に、いつしか従順になって。
あの人にだけは、知られたくない。
その一心で僕は、繰り返されるこの行為に耐えていた。


「ふ・・・・ぁっ・・・」

「っく・・・相変わらずキツ・・・おい、そっち」

「了解」

「んっ!ん、あっ・・う、ン、はぁっ・・・」

今日は何人いるかなんて確認する暇もなく、始まった行為。
十分に慣らしもせず貫いた男の合図に、後ろから僕を羽交い絞めにしている男が手を前にまわして僕自身を弄り始める。
ぴく、と震えた足が暴れ出すとでも思ったのか、両方の足首もそれぞれ別の男に掴まれた。
3人・・・いや、4人か。

―――そんなふうに押さえなくたって、僕はもう逃げようなんて思わないのに。

「・・・ア、あぁ・・っ、・・・っふ・・・」

「・・・おい、勝手にイクなよ。誰がイって良いっつった?」

「あ・・・ごめ、なさい・・・」

舌打ちと共にずるりと抜かれたそれはまだ張り詰めていて、口でしなきゃいけないのかな、と思った瞬間後ろの男に身体を起こされた。
あぁ、そういうことかと頭の中で冷静に理解する。
おもむろに寝転んだ男の上に跨り、自ら猛りを宛がった。
今まで入っていたはずなのになかなか飲み込めなくて、男の腹に両手を置いて少しずつ腰を揺らす。

「ぅあっ!?あ、あぁあんっ!」

急にもう一人の男に両手を掴まれて、後ろ手にまとめられた。
その拍子に背中がしなって、男を深く銜え込んでしまう。

「あっ、イタ・・・あぁ、んっ・・」

「イタイ?よく言うよ、腰振って」

「ん・・・ぁ、い、ぃ・・・っ・・・キモチイイ・・・っ」

少しだけ冷たい視線を向けられて、僕は男を喜ばせる為に善がってみせる。
本当は嫌悪でしかないこの行為を受け入れるのは、あの人の為。
大事にしている僕のこんな姿知ったら、あなたは驚くでしょう?
きっと、嫌いになる。
こんなに汚い僕に、あなたは触れなくなる。
そんなの、僕が耐えられない。
だから、こいつらを満足させるために、僕はキモチイイふりをしないといけないんだ。

「それにしても、ラッキーだよなぁ。ここまで言うこときくなんてさ」

「お前らがヤってる声、丸聞こえだったぜ。あいつホントにあんたのこと大事にしてんの?」

「やっ・・・やめ・・・ん、んぁあっ・・・」

「ヤメテ?ふーん、いいの?そんなコト言って」

「ごめ・・なさ・・・お願いだから・・っ・・・」

『お願いだから』やめないで。
『お願いだから』言わないで。

『お願いだから』

僕からあの人を奪わないで。

「・・・っふ・・・ぇ・・・・っ・・・」

「あれ?おいおい、泣いちまったよ?どーする?」

堰を切ったように溢れ出す涙を堪えられなくて、僕は顔を歪ませた。
泣き止まなきゃ。
もっともっと悦んでみせなきゃ。
でも、できない。
あの人の笑顔がちらついて、消えてくれないから。
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