novel-short
□☆今日のお仕事(土沖 ラブホ、玩具)
1ページ/4ページ
真っ白い壁にほんのり赤い照明。
窓はなく、ガラス張りの壁の向こうに丸い浴槽が構えている。
大きな液晶テレビに、カラオケの機械まであった。
なにより目をひくのは、存在感のある大きいベッド。
「…よくこんな部屋でヤる気になれますねィ」
それが、一通り見渡してみた沖田の感想だった。
そう、ここは俗に言うラブホテル。
隣で悠然と構えているのは、他でもない土方。
いちおう恋人だったりするが、今日ここに来たのはそのような色っぽい目的ではない。
あくまで仕事、だ。
巷で出回っている盗撮動画がどうやらこの部屋で撮影されている、ということがわかり、その押収が本日の任務である。
「さっさとその隠しカメラとやら見つけて出ましょうぜ、こんなとこ」
「…あァ、そうだな」
土方はそういうと、ソファに座り煙草に火をつけた。
その姿を沖田はじろりと睨みつける。
「サボるんなら任務達成してからにしましょうや」
「お前にしちゃめずらしく正論だな」
「なんか居心地悪いんでさ、この部屋…」
かすかに香る甘ったるい匂いとか、いやに雰囲気を出している照明。
そして、一緒にいるのが土方なのだ。
落ち着けるはずもなく、沖田は部屋中を調べ始める。
壁と棚の隙間、テレビの裏、ベッドの下などをせっせと探してまわる沖田を見ながら、土方は煙草の煙を吐き出した。
「…なんでさ?これ」
ベッドの横に備え付けられた小さな自動販売機を見て、沖田は首を傾げた。
色んな形の小さなものが、何個か並んでいる。
あまにり毒々しい色で、ちょっと食べられそうもない。
お金を入れないと取り出せないらしく、ちらりと土方を振り返ると、びっくりするほどすんなり財布を渡された。
「…いいんですかぃ?買い占めますぜ」
「いいぜ?あとで困るのはてめぇだからな」
困らせてやろうと思って言ったはずが、なぜか土方は嬉しそうで。
なんでアンタの金がなくなって俺が困るんでィ、と不思議に思いながらも、わけのわからないものをたくさん買っても仕方ないので、上から順番に3つだけ購入ボタンを押していった。
ごろんごろんと出てきたものを手にして、またしても沖田は首を傾げる。
ひとつめは、小さくて丸くて、可愛らしいと言えなくもないピンク色のもの。
コードがついているから、電化製品なのかもしれない。
ふたつめは、金属製で細長くて、持ち手であろうところにスイッチが付いている。
カチ、と押してみると、低い音で小さく振動した。
やはりわけがわからず、傍らに置いておく。
最後に出てきたものを手にして、思わず息を呑んだ。
明らかに男根の形をした、肌色の玩具。
「・・・ねぇ土方さん、これってもしかして」
「やっと気付いたが、ガキが」
「うわっ!な、いつの間に近くに来てたんですかぃ!?」
振り向くと、予想外に近い土方の顔。
反射的に避けようと後ずされば、背中がベッドにぶつかった。
「買ったものは、ちゃんと使わねぇとな?」
「や、別にそんな義理ねェし・・・っ」
土方の腕が、逃げようとする沖田の肩をベッドに押し付ける。
沖田が握りしめていたものを取り上げ、土方はにやりと笑みを浮かべた。
「今日は任務で一泊するって言ってあるから、好きなだけ啼いていいぜ」
「アンタ、最初からそのつもりで・・・」
突然の言葉に呆然としているうちに、されるがままに身体ごとベッドに沈んでしまった。
逃げる間もなく覆いかぶさった土方が、素早く自分の上着を脱ぐ。
続いて慣れた動作で脱がされた沖田の隊服が、ばさりと床に落ちる音がした。
上半身をすっかり剥かれ、それでも冷静を保って沖田は土方を見上げる。
「あの、土方さん。さっきのお金返しますから、帰りやせん?」
「・・・んじゃそうするか、って言うと思うか?この状況で」
沖田の身体をがっちりと組み敷いて、土方は手にした玩具をしげしげと観察する。
どうすっかな、と呟いて、一旦ベッドサイドにその卑猥なものを置いた。
とりあえず視界から玩具が消えたことにほっとして気を抜いた瞬間、ズボンごと下着も取り払われてしまう。