頂き物・捧げ物

□拍手ログ
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梅雨もやっと終わり、夏の前触れかの如く蒸し暑いこの季節。
まだクーラーのつかないこの校舎での授業は地獄そのものだと思う。
窓を存分に開けて風を心待ちにしても、それは無意味で。
先程が髪先を掠める程度の風しか流れてこない。


「あっちぃ、」


ベタっと机に張り付く様に寝ると鼻につく木材の匂い。
これが、この匂いが好きじゃない。
学校の机で寝てるやつの気がしれない、とダレた体を起こすと否が応でも視界に入る隣りのそれ。
規則正しく上下する背中と組んだ腕の隙間から見える寝顔。
この暑さにも耐え夢の中へと入っていけるお前に乾杯…否、完敗だな。


「…あ、次って」


席順に音読をさせていた先生の視線が眠りこけるそれに動く。
間に合え、と思い投げた消しゴムは見事頭にクリーンヒットして俺は思わずガッツポーズをした。


「っし!」

『いーってぇ!』


ガタガタガタンと大きな音をたてて椅子から転げ落ちた上にこれでもかと言う程の叫び声。
たかが消しゴムぶつけられたぐらいでこれだけのリアクションとれりゃ、関西人も吃驚だな。

当の本人はきょろきょろと周りを見て状況を把握したらしく、立ち上がり教科書を開いた。


『せんせー、なんぺーじでしょーか』


その日の放課後、クーラーのまだつかない教室で、がっつりと渡された課題を手伝わされる事は言うまでもない。



夏の夕暮れ、教室で
(宍戸!投げんの遅ぇよ、バカ!)
(お前のリアクション、無駄にでけぇから意味ねぇよ!)



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夏っぽく、夏っぽく!
男っぽい女の子でも、男の子でもいける感じ!

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