二次小説(コナン)
□はぴば
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「あ」
今日は6月20日の夕方。
唐突に思い出した。
明日は、快斗の誕生日だ。
思い出しただけでも、奇跡だろう。
なんせ、自分の誕生日だっていつも忘れてるんだから。
「うーん、どーすっかな」
新一は、読みかけの本をいったん閉じて呟く。
「今日は予告日だから、快斗いねーし。あいつオレより物欲ねぇし」
今日は白い罪人が、空を舞う日。
流石に探偵の前じゃ準備もしづらいのか、この家には前の日から来ていない。
ただ、快斗がいないとコーヒーのみで食事終了の新一を心配して、レンジで温めるだけの食事がきっちり冷蔵庫に用意されてはいたが。
「きっと、シゴトが終わったら、こっちに来るんだろうから、そん時にでも聞けばいいか」
いちいち考えるのがめんどくなったのか、新一はキッチンへ。
お湯を沸かし、お気に入りのコーヒーを淹れる。
リビングに戻ると、読みかけの本を再び開いて読み出した。
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某美術館は厳戒態勢が引かれていた。怪盗KIDの予告時間は10:15分。
今回の予告状は、しっかり中森警部が解いていたため、大量の警察官が投入されていた。
が。
『こんばんは、中森警部』
予告時間ぴったりにKIDは、目的のビックジュエルの前に立ち、警官に囲まれているにもかかわらず、優雅に一礼した。既にその手にはビックジュエルが。
「KIDっ、今日こそは捕まえてくれる!」
『いえいえ、貴方では私を捕まえることは出来ませんよ、中森警部』
「なんだとぉ!!」
『私を捕まえることが出来る人がいるとすれば、たった一人だけ。
全てを見抜く慧眼の持ち主、私が唯一名探偵と認める、あの方だけですよ』
――もう、捕まってしまいましたけどね。
『さて、宝石も頂いたので。今宵のショウもフィナーレとさせていただきます』
KIDは一礼すると、ポンという軽い音と共に消えた。
「探せーーーーーーっ!!」
中森の怒号が美術館中に響き渡った。
「さてと。宝石の確認をしますか・・・」
廃ビルの屋上に降り立って、KIDは宝石を月にかざす。
・・・名探偵と同じ瞳の色の宝石だったから、ちょっと期待してたんだけどな。
KIDの目的の色は宝石の中に見つけられず、宝石を再びしまう。
「返却は後にするとして・・・愛しの名探偵の所に帰りますか」
KIDはハンググライダーの翼を開いて、ビルから飛び立っていった。