Normal 2


□命日、そして
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往来がやけに賑やかで、何かあるのかと隣で腕を絡ませる女に訊くと、彼女は笑って答える。

「おかしな冗談ね。明日はクリスマスで、今日はイヴじゃない」

だから私と一緒にいるんじゃないの?そう上目遣いで尋ねる女がいじらしく、男はごまかすようにキスをした。






本当は、忘れていた。
クリスマスという存在を。



今いる環境は、とてもそんな雰囲気ではなかったから。






そのまま女と別れ、まっすぐ家に戻る。なぜか夜遊びをする気分にはなれなかった。まだ日が出ているうちに帰る自分自身を男は嗤う。
門の前で待ち構えていたかのように、老女が立っていた。いや、この言い方は彼女に失礼だ。後が怖い。

「この不良神父が」

「慈善活動だ。愛を配ってたんだよ」

毒づく彼女を軽くあしらうと、思い切り睨まれた。言いたいことは大体分かる。『あれ』のことだろう。

「…だったらあのガキにも配ったらどうだい。その安物を」

やっぱり。男はくつくつと笑う。それに気を悪くしたのか、彼女に足を踏みつけられた。

「早くお行き。朝から飯も食わないんだよ、あの馬鹿」

「俺にどうしろと?」

「拾ってきたのはあんただろ?自分で考えな」

面倒臭ェな、そう言って頭を掻くと再び足を踏まれる。彼女は本当は分かっているのだ。しかしあえて何も言わない。



だから面倒臭い。
自分は向いていないから彼女に預けたというのに。

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