Parallel
□君の子守唄
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いつものように僕が研究所の掃除をしていると、研究室のベルが鳴った。用事があるみたいだ、僕は駆け足で研究室へ向かう。
「失礼します」
「来たかアレン!」
いきなりリーバーさんが僕に突進してくる。抱きつかれるのは教授一人で十分なので僕がそれを避けると、彼はバランスを崩して派手に転んだ。
あーあ、痛そう。
「大丈夫ですか…?」
「あぁ、悪いなアレン」
罪悪感があったのでリーバーさんに手を貸し立たせる。リーバーさんは頭を掻きながら笑った。
「それで、どうしたんですか?」
そう尋ねると、リーバーさんは思い出したようだ、真っ青な顔になった。何かに怯えている。
「それが大変なんだアレン」
ごくり。
緊張が走る。
「クロス教授が、」
「教授が?」
「…鼻歌を歌っているんだ」
大変だ!
槍が降る!!
教授の鼻歌なんて今まで聞いたことがない。いくら上機嫌でも、酒を飲んでいても、鼻歌なんか、鼻歌なんかありえない!!
冷や汗が背中をつたうのを感じた。寒気がする。
「とにかくこっちに来てみろよ…」
そして僕はリーバーさんの後についていった。
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