Parallel
□ティムキャンピー
1ページ/3ページ
「少し出掛けてくる。しばらくの間留守を頼む」
そう言って教授は昨夜出て行った。
そして今、教授はまだ帰って来ない。
教授がいなくても研究は続く。僕はフラスコに入っている真っ青な液体をぼーっと見ていた。
外は雨が降っている。教授、傘持って行っていなかったから心配だ。
すると突然誰かに肩を叩かれた。振り向くとジョニーが笑顔で立っている。
「トランプやるけどアレンもやんない?」
「言っとくけど、僕、強いよ?」
ニヤリと笑うとジョニーもニヤリと笑った。
「イカサマはなしだからな」
「分かってるって」
研究は一時休憩みたいだ、僕はジョニーと一緒に研究室を後にした。
「──教授、今頃何してるんだろな」
「研究だって教授がいなきゃ進まねェもんな、全く」
トランプをやりながら研究員の人たちとそんなことをぼやく。本当、どこに行ったんだか。
「アレンは何か聞いてる?」
「いえ。電話も手紙もないんですよ」
「変なことに巻き込まれてなければいいけどな」
「金銭トラブルとか、女性問題とか?」
その言葉にみんな笑うけど、僕はあまり笑えなかった。借金を負わされるのは結局のところ僕だし、愛人さんのところにはあまり行って欲しくない。
教授、何やってるんですか…?
.