Parallel


□マフラーのお礼に
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チリン、とベルが鳴った。来客のようだ、アレンは掃除の手を止めて玄関に向かった。

「郵便ですよー」

「はーい」

ドアを開けるとそこには薄黄色のツナギを着た赤毛の青年が手紙を何通か持って立っていた。

彼は郵便屋で、名前をラビと言った。



「ラビ、いつもありがとう」

「これも仕事のうちさー」

ラビは朗らかな笑みを浮かべた。つられてアレンも笑顔になる。

ラビは18で、アレンとは年が近いためアレンは兄のように慕っていた。ラビもまたアレンの外見に臆することなく、いつも明るい笑顔を見せてくれた。

「今日は寒いね。ラビ、そんな薄着で大丈夫?」

「平気さ。もう慣れたからな」

「そう…。あっ、ちょっと待って」

アレンは何か思い出したように中に戻る。そして腕に何か抱えて帰ってきた。



「コレ、編んでみたんだけど、ラビに似合うかなって…」

渡されたのはオレンジ色のマフラー。ラビの髪のような鮮やかな色をしている。

「くれるんか、コレ…」

「もちろん!」

「…すげぇ嬉しい。ありがとな、アレン」

ラビは早速首にそれを巻く。その表情は子供みたいだった。
おかしくなってアレンは吹き出す。

「どうしたんさ、アレン?」

「いえ、別に…」

訳が分からないラビは首をかしげるばかりだった。









「──で、どうしてお前は怒ってるんだ」

クロスは訝しげにアレンを見る。アレンはそっぽを向いたままクロスを見ようとしなかった。

「別に、今日ラビが届けてくれた手紙が教授の愛人さんからだったことで怒ってるわけじゃないですから」

クロスは大きくため息をつく。

「別にいいだろ手紙くらい。こうして夜は帰って来てるじゃねェか」

「手紙くらいって…!僕、今日はソファーで寝ます!!」

「勝手にしろ。ティム、寒いからこっちに来い」

クロスはアレンと同じようにソファーでうずくまるティムを呼ぶ。しかしティムはアレンとクロスを交互に見て動かない。

「ティム、今日は俺と寝よう。アイツは拗ねてるだけだから」

そう言ってクロスが笑みを見せると、ティムは安心したのかベッドへと向かった。



「教授なんて、…大嫌いだ」



アレンの呟きはくるまった毛布の中で消えていった。

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