10/24の日記
19:18
現実的な
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私を引き戻さないで。
智世は気が向いた時、大体きまって電車での移動中だが、に読書をする。勿論、江國香織の本。
立川を過ぎ、ようやく席に座れると読むのを止め、メールのチェックをする。それがいつもの智世の帰り方だ。
メールを読めば私は現実に引き戻される。そんなことはとうにわかっている。だからこそ、私は携帯の電源が切れない。
「来週のシフトを教えてください」
来週…。何も考えられそうにない。胃が痛くなってくる。それなのに、確実に私は疼いてる、「仕事」がしたい。
目の前に座るスーツ姿の(おそらく中年の)女に目が行く。私の脚があれくらい細かったら、何か、変わったのだろうか。
若ければ、若さがあれば、何でもできると思っていた。劣りなどしないと信じていた。
それなのに。私が入った世界は、若さを必要とはしてくれなかった。若さが誇りには、ならなかった。
私はあの世界でも劣っている、すべてにおいて。
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