10/29の日記

18:20
カカオ56%
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智世はチョコレートを衝動買いした。常に計画を持って生活するような人間(他人に邪魔された、もしくは体調不良を起こした場合を除く)なのだが、食べ物、特に甘いモノへの誘惑にはたいてい負ける。それが智世の体型を「維持」させている。
太った、などとは言わせない。生まれたときからぽちゃっとした女の子で、18年間生きてきて「細身で華奢だった時代」など一度も存在しないのだから。

17歳のとき、受験勉強での過度の運動不足から来る肥満化を考慮し、お菓子を我慢したことがあった。3週間続け、これで結果が出たことだろうと自信満々に体重計(今も昔も、世界一恐ろしい乗り物だ)に乗ったのに、0.5kgしか減っていなかった。

そこで一度、受験勉強でのストレスも重なって、軽い鬱になり、見ただけで吐き気のする、ふとももや下腹に散々コンパスの針で傷をつけた。浅いひっかき傷をいくつも、いくつも。

それからもう、ダイエットと名のつけられそうなものは何もしていない。最近の智世の運動で、いちばん汗をかくのは、セックスだと自信を持って言える。


今日つい買ってしまったチョコレートは、苦かった。56%がカカオのビターチョコレート。午後からの授業へ行く途中、電車の中で封を開けた。
まわりの視線がこちらに向くんじゃないかと思うくらいの、むせかえるような甘い香り。

21枚入りのうちの一枚を舌の上で溶かす。バイト先で使い切ってしまったような気がしていたのに、智世にはまだ笑顔が残っていた。

向かい側に女が座った。すらっとした脚、一つもにきびのない、綺麗に化粧された顔。
智世はチョコレートの包み紙をくしゃくしゃに丸め、鞄の内ポケットに突っ込んだ。
熱で赤らむ頬を感じた。赤ら顔がさらに赤らんでいく。駅に着くまで、智世は、俯いた顔をあげることができなかった。



☆コメント☆
[かっきぃ] 10-30 19:49 削除
こんばんは
掲示板から飛んできました
ダイエットって必要性を感じないと出来ないから、まだ智世さんには必要ないと思いますよ
甘いものお薦めがあったら教えて下さいね

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