03 小さいのは見た目
あぁ“放課後”ってそうゆう意味だったのか。
……正直驚いた。
昨日まではコートにいなくて、昼休みに俺の目の前にいた奴が、今ではちょこまかと動いて、ドリンクを運んで先輩方に絡まれている。
「はい日吉君!ドリンク!」
「あぁ」
そして俺の前にかけてくる。
差し出されたドリンクを受け取ると、次は向日さんの方に走っていく。
「可愛ぇマネージャーがおると、男ばっかの部活も明るくなるもんやなぁ」
「忍足。変な目で結花を見んな」
「なっ!変な目なんてしとらんで。ひどいわぁ」
全くあの人は…。
「あっれ〜、結花ちゃんだC〜!」
「ジロー先輩!」
また眠そうに目を擦りながらコートに入ってきたと思ったら、瑞河を見つけて飛び付く。
「今日からマネージャーになりました」
「マジマジ!?うっれC〜!」
「おいジロー!早く練習に入れっ!」
「んも〜、わかったよ跡部」
跡部さんに怒鳴られ渋々瑞河から離れ、頭をぐしゃぐしゃと撫でてからコートに走っていく。
何であんなに仲がいいんだ。
「日吉。正レギュラーは今からランニングだってさ」
「あぁ、わかった」
***
「ん〜?洗剤どこだろう。ここにもないし…」
ガチャッと開けては、バタンと閉める…この動作を何度繰り返しただろうか。
どの戸棚を開けても、お目当ての洗剤が一向に見つからない。そして悩んだ末に1つの戸棚に目をやる。
「…やっぱりあそこだよね」
みんななら背伸びをしなくても届く高さだが、私には背伸びをしたってギリギリ届くところ。
「小さいって不便だよね…」
「結花、何してんだよ」