フリージア

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12 甘党ワカメ 1



「結花ちゃん行くよ〜!」
「えっ!ジロー先輩早すぎます!ちょ、ちょっと…」


練習が終わるや否や、私が部日誌を書いている途中にも関わらず、ジロー先輩はいつの間にか制服に着替え終わっていて今にも部室を出て行こうとする。


「結花、ジローとどっか行くのか?」
「場所はわかんないけど…」
「なんだそれ」


私の頭上で話している亮君の顔を見ないで、急いで日誌を書き上げる。


「あ〜宍戸〜。今日結花ちゃん借りるね〜!」
「どこ連れてくんだよ?」
「ん〜?ちょっとデート!」
「はあ?」


亮君の素っ頓狂な声と一緒にみんなが一斉にジロー先輩を見て驚いた顔をする。私はみんなのタイミングにびっくりだよ…


「じゃ、そうゆうことで〜」
「わ、ちょっとジロー先輩!失礼します!」


急いで鞄を肩に掛けあとを追って部室を出た。その後、バタンと扉が閉まり、シーンと部室が静まり返る。


「借りるって…結花は俺の私物じゃねーよ」
「宍戸さん、そうじゃなくて」
「チッ、ジローの行きそうなところ…」
「…あかん。思いつかへん」
「そんなに気になるんなら追いかければ早い話じゃねーか。俺様は帰るぜ。行くぞ樺地」


樺地を引き連れて跡部が部室から出て行った。


「その手があったか。行こーぜ侑士!」
「やけに張り切っとるなあ」
「んなこと言ったって、宍戸と鳳はもう出てったぜ?日吉も行くぞ!」
「…別に俺は」
「フッ」
「侑士何笑ってんだよ」
「いや…ほら早よいかんと置いてかれるで」
「おう!侑士!つーことで部室の戸締まりよろしくな!」
「って、ちょい待ちぃや!」





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