01
「柚依、今日も美術室?」
「あ、うん!もう少しで完成しそうだから」
「そっ。じゃあ部活終わったら美術室行くからな?」
「わかった」
7組の中でもおとなしめなオレの彼女は、数少ない美術部の1人。
ここ1週間、柚依は放課後はほとんど美術室通い。“何描いてんの?”って聞いても笑って誤魔化されるし。
…ホント、何描いてんだか
そんなこと考えてたら部活もあっという間に終わった。
ガラッ
「柚依帰るぜ…って…あれ?」
美術室に居るはずの柚依の姿が見当たらない。
不思議に思い、ゆっくり美術室に足を踏み入れた。
「どこ行ったんだ?」
歩みを進めるごとに聞こえてくる小さな音。
その音が聞こえる方に少しずつ近付いていった。
「あっ、柚依」
着いたところには柚依が右頬を伏せて、寝息を立てていた。