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「悠一郎!今日の試合頑張ってねっ!」
「おうっ任せてよ!ぜってえ勝つからなっ!ちゃんと見ててよ!」
中学最後の試合…
いつも試合のときにはベンチまで来て声をかけてくれる柚依…
オレの可愛い大好きな彼女!
「うんっ頑張れエースッ!」
トンッとオレの肩を叩いて笑うと、柚依は外野の応援席に戻っていった。
柚依の背中が見えなくなると、真っ直ぐバッターボックスを見つめて立ち上がった。
「(今日は柚依の誕生日だもんな!)ふぅ…よっし!気合い入れるぞ!」
そう…
今日は柚依の誕生日──
最高のプレゼントを贈ってやるんだ!
ベンチにパンッと乾いた音が響くと同時に試合が開始された。
「頑張れ…悠一郎…」
応援席で悠一郎に向けた柚依の小さなエールが、他の観客によってかき消された。
いくらうちの学校が強豪だと言っても、相手も決勝まで上がってきた学校…
そう簡単に勝敗は決まらない。
今の得点は、4−5…
相手に1点リードされて最終回を迎えた。