01
──オレには中学のときから好きな子がいて、長い長い…片想い中。
その子は明るくて誰にでも優しくて、頼りにされて笑顔がすっごく可愛いんだ。
「あっ勇人おはよ!」
「おはよう柚依」
いつも、朝練が終わって教室に入ると、その可愛い笑顔でオレに笑いかけてくれる。
それがすっごく嬉しくて、オレの顔から自然に笑みがこぼれてくる。
──こんなにもキミのことが好きなのに言葉に出来ない自分がもどかしい…
「──ってことなんだって!勇人?聞いてる?」
「え?あっゴメン。何?」
考えすぎて柚依の言葉が耳に入っていなかったことに情けなく思った。
「もう、それで…あ」
柚依が話の続きをしようと口を開いたとき、それを遮るように校内にチャイムの音が響き渡った。
「…じゃ、座るね」
「うん」
柚依はまた優しく微笑むと一番前の自分の席に戻っていった。
オレの席は柚依が座ってる列の右斜め後ろ3列目…
授業中でも視界に入る柚依の後ろ姿。
ときに振り返ってオレと目が合うと微笑み小さく手を振ってくれる。
それにオレは口元を緩ませて応える。
どんなに時間がたったっていい。でも、オレが一言“好き”と伝えれば…何か変わるかな?
ねえ…柚依
オレの想いはキミに届く?
オレの気持ちが柚依に届くまで
今は
そっと後ろからキミのことを眺めていてもいいかな?
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