おお振り *

□キミの瞳に映るのは
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01



「千代ちゃーん!」


昼休み、花井と部活のことで喋ってたら、数人しかいなかった7組に綺麗な声が響いた。

その声に呼ばれた篠岡は笑顔でその子に駆け寄る。

オレはそれを自然と目で追って行った。


「数学の教科書忘れちゃったんだ。貸してもらっていい?」
「いいよ!ちょっと待ってて」
「ゴメンね」


その子の名前は柚依…

篠岡の中学のときからの親友らしくて、いつも休み時間にはうちの教室に来て、篠岡と楽しそうに喋ったら、自分の教室に帰って行く。

オレはそれを何回も見ていた。

この頃は野球部にも顔を出すようになって、オレ達と自然に仲良くなった。

彼女を見るたびに胸がグッと苦しくなる。

オレは初めて柚依を見たときから…


「はい、柚依」
「ありがと千代ちゃん!あっそうだ、今日も野球部観に行っていい?」
「うん、いいよ!──…君、見たいんでしょ?」
「ち、千代ちゃんっ!」


え…?──誰?

よく聞こえなかったけど、何で柚依はそんなに顔を赤くしているの?


「──…谷…おい、水谷聞いてんのかー?」
「あ…悪い花井」


ボーっとしていたオレは花井に声をかけられて我に返った。


「じゃ、あたし戻るね。教科書ありがと!後で返しにくるね」
「うん!」


柚依は篠岡に微笑んで手を振ると廊下をかけていってしまった。

柚依好きな人いるの?
野球部に…





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