01
──英語…
それは、朝練で疲れたオレにとっては睡眠薬の様なものだ…。
いや。オレだけじゃないかもしれないけど。
ほら、水谷なんかもう顔伏せてるし、花井はよく聞いてられんな。
「ふあっあぁ…」
そんな野球部のヤツらをハッキリとしない目で眺めてたら、隣の席から1つ欠伸が聞こえた。
「柚依…」
「あっゴメン、隆也」
その欠伸の犯人はオレの彼女の柚依…
柚依は目を擦りながら笑って、軽く背中を伸ばした。
「ふあっ」
オレはシャーペンを持って、肘を机に付きながら黒板を見ると柚依と同じ様に欠伸をした。
「隆也も眠い?」
「オマエのがうつったんだよ」
「ええー」
柚依は眠そうな目のまま口を尖らせた。
──♪───♪…
「うえっ」
この教師…英語のCDかけ始めやがった。
ヤバいって…眠っ
オレは眠い目を頑張って開きながら、もう1回欠伸をした。
もう無理…
オレは開いていた窓から入ってきた心地いい風に、気付かないうちにゆっくりと目を閉じた。
***
──…ん…
「…あ」
ヤベッ、寝てたって…授業終わってんじゃん。
オレは大きく息を吐くと、机の上の教科書やノートを閉まった。
するとオレの耳に規則正しい寝息が静かに聞こえて、ゆっくりと横を振り向いた。
うたた寝の
そのあとにオレの目に映った
──愛しいキミの可愛い寝顔
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