01
「みんな!休憩だって!」
グラウンドに響いたマネジの声に、みんながゾロゾロとベンチに戻った。
「はい、田島タオル!」
「おっサンキュー柚依!」
そのマネジは柚依。
すごく明るくて活発な子だから、みんなからも人気がある。
「はい栄口!」
「ありがとう柚依」
「柚依ーオレにも!」
「あっはーい!」
返事をすると柚依は走っていった。ホントに元気な子。たまに心配になるくらい。
何でこんなにオレが気にかけるかというと柚依のことが好きだから。
「おーい栄口、大丈夫?熱中症にでもなっちゃった?」
「え、やっ何でもないよ」
いつの間にか柚依がオレや田島がいた方に戻ってきていて、オレの前にしゃがむと目の前で手をヒラヒラさせていた。
「そう?何かボーっとしてたから、無理しちゃダメだよ!」
ニカッと笑う柚依に胸が締め付けられ、オレは深く帽子を被った。
それはほんの照れ隠し。
「さあ!練習再開するよ!」
モモカンが手を叩くと、オレ達はバットやグローブを持って外野やバッティングマシーンのある場所に戻った。
オレはセカンドの位置に付いて、ソフト経験がある柚依は監督に変わってノックの球を打つ。
「ファースト!行くよっ!」
───キィン!
パンッ!
「ナイスッ!沖!次、センター!」
威勢のいい声を張り上げて柚依は続ける。