01
「なあなあ!知ってた泉?柚依が結婚するんだって!」
22歳の夏。
高校の同窓会のとき田島から聞かされた、野球部のマネジだった柚依のこと。
「…は?」
オレは耳を疑い、もう1度聞き返した。
「だーかーらー、柚依が結婚するんだってば!んで相手は…」
***
その同窓会から一週間後、柚依から手紙が来た。
高校のときに見慣れた、柚依らしい綺麗な文字が、変わらず手紙に綴られていた。
“結婚しました!”
そして、その直ぐ下にプリントされていた1枚の写真には、純白のウェディングドレスに身を包み、相手の腕に自分の腕を絡ませて幸せそうにはにかむ柚依の姿と、黒のタキシードに身を包み、昔と全く変わらない笑顔を浮かべる…
──栄口がいた。
コイツらは高校のときから、すっげえお似合いだった。
オレ、柚依のこと好きだったから。でも2人を見てると、オレの入る隙間なんて最初からなかったんだ。
何度も柚依に好きだ、って伝えようとした。
でもオレは、あいつらが付き合いだす前から薄々気付いてたんだ。
柚依は栄口が好きなんだ、って…
伝えるだけでもって思ったときにはもう遅かった。2人が付き合いだしたのを知ってから、オレは柚依にこの想いを伝えないまま心の奥に閉じ込めた。
そして数ヶ月後2人の結婚式が行われた。オレは田島に誘われ出席した。
本当は、来たくなかったんだけど…