01 勘違いと忘れん坊
「はぁっ?結花が飛び降り!?んな訳ねーだろ!」
屋上でお弁当を食べながら先程の話をすると、目の前で向日先輩が大笑いする。
その反対側で、プルプルと肩が震えながら、亮君は怒りに耐え顔を真っ赤にさせて頭をかく。
「宍戸もとんだ勘違いだな」
「ですよね〜」
「うるせっ」
私と向日先輩が顔を見合わせて笑い合うのを見て、亮君が吐き捨てるように言ったけれど、
真っ赤な顔で言われても怖いとは思わないのは、きっと相手が亮君だからかな。
「宍戸さん、向日さん。遅くなりました」
「おっ、鳳やっと来たか」
「職員室に寄っていたので。あれっ結花?」
「長太郎君やほー」
私は座っていて、立っている長太郎君を見上げると更におっきい。
ひらひらと手を振ると笑顔で振り替えしてくれる長太郎君は、いつ見てもでっかいワンコに見えて仕方ないよ。
癒されるよね、うん。
「結花…委員会の集まり、もう終わったの?」
「えっ委員会?」
いいんかい…委員会?
あれ、SHRで何か言ってたっけ。
「あ、あと今日は昼休みに報道、保健委員会あるからなー。忘れないで行けよー」「あ…、あー!!」
そうです。昨日のLHRで私は報道委員になったのをすっかり忘れていました。
どうしよう、どうしよう…!と、とりあえず…
「行ってきまーすっ!!」
そうだ。今日同じ委員会の子休みだったんだ!もうどうしよう。報道室どこだっけ…。
階段を駆け下りて科学室の横を通ると“報道室”と書いてある教室を見つけて、上がっている呼吸と乱れた髪を整えて、そろっと教室に入る。
「失礼しまーす…」
ばっと私の方を見る皆の視線に堪えながら、遅れてすみません。と頭を下げる。
(うぅ、恥ずかしい…。)
「あら、瑞河さん。体調は大丈夫?」
3年の委員長の女の先輩が、にこりと外見と同じくらいの綺麗な笑顔で私に訪ねてくる。
美しいお姉様とは彼女のような人だと思う。
……じゃなくて、体調?
「…えと、大丈夫です」
とりあえず返事をしておこうと思った。
「なら良かった。そこに座ってね」
「はい」
まだ疑問に思いながら静かに席に着く。
あっ、今日係決めだったんだ。
「おい」
「ん?」
席に座って一息着くと、預かってた。と隣の席から腕が伸びて来て、委員会のプリントを私の机の上に置く。