リクエスト
□欲しい物は?
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休日の昼下がり、暖房により暖かくなっている室内
リビングのソファーにお互い向き合うように座りそれぞれが手に持つ書籍へと意識を向けているために会話はなく、ただ頁をめくる音だけが時折響き
『欲しい物はあるか?』
突然のヴィンセントの問い掛けに部屋には2人だけなのだから当然自分に声が掛けられたのだというのを判断し頁をめくる手を止め訝しげに視線を向け
『突然何だ?』
言葉の意味を理解していないセフィロスの様子にヴィンセントは手に持っていた書籍をパタンと閉じてテーブルに置くと顔を上げて視線を部屋の壁に掛かっているカレンダーに向け
『来月はクリスマスだろう』
『…あぁ…そういえばそんなものがあったな…』
しかし何故かセフィロスは興味がないかのように再び本へと視線を向けてしまい、その様子にヴィンセントはどうしたものかとため息をつき
『欲しい物はないのか?』
『ない』
再び問いかけるが、物欲など彼の育った環境からしてないだろう事は予想できたが、ここまでハッキリ言われるとヴィンセントも少し不満に思い
『1年に一度だぞ?』
『子どもが楽しむ行事だろう』
『恋人ではないのか?』
『……』
ヴィンセントのその言葉にセフィロスは何と言い返せばいいのか分からないのか言葉を詰まらせてやがて本の開いていた頁に栞を挟んで閉じるとそれをテーブルに置いた