コードギアス
□一輪の花
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アリエスの離宮…そこには一年中色とりどりの花ばなが咲き誇っており特にバラ園は一段と美しい物だった
その匂いに惹かれ迷い込むようにそこへたどり着けばガサリとした草を踏みしめる音に気づいたのか振り向いた幼子…漆黒の髪にアメジスト色の瞳の少年が驚いたようにこちらを見ており安心させるように微笑めば少年はハッとしたように膝をつき頭を下げた
『ご機嫌うるわしゅう…シュナイゼル殿下…このような所においでになさるとは思っておらず失礼いたしました』
『君は…』
『初めてお目にかかります…ご挨拶が遅れました…ルルーシュと申します』
『ルルーシュ…あぁ…君がマリアンヌ皇妃の…』
皇族特有のアメジスト…しかもその紫暗の瞳は確かなる皇帝の血を色濃く受け継いでいる証だと思ったためにその態度に最初は驚いたがその名を聞いて納得すると共に此処がアリエスの離宮だということを思い出し
『シュナイゼル殿下…今日は』
『あぁ…近くまで少し用があってね……そうしたらいい香りがしたのでね。つい…それより…ルルーシュ…兄とは呼んではくれないのかな?』
『…えっ?ぇ…ぁ…』
幼いルルーシュの表情が驚きに変わりすぐに困惑したように瞳が揺れて
『け…けれど立場が…違いすぎます…このように話していることすら恐れ多い…後でどなたかに知られては悪く言われてしまいます』
ルルーシュのその言葉に母などの他の皇妃や皇族達がマリアンヌやルルーシュ達をどう思いどんな態度をしどんな言葉を投げつけているのかを思い出しルルーシュが幼いながらに大人の事情を理解している聡明な子であるという事を悟った