×浅き夢×
□×契×
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「ん〜…」
真ん丸満月の照らす庭先でこの家の末孫の昌浩はキョロキョロなにかを捜していた。
「どうした昌浩…眠れないのか?」
昌浩の声に反応するように縁側で丸まっていた白い物の怪が顔をあげる。
「もっくん…そんなとこにいたんだ。目覚めたらいなかったから…ちょっと…ね」
言葉を濁す昌浩…首をかしげる物の怪をひょいっと抱き上げると腕の中に納めると
「今宵は冷え込むから風邪引いちゃうよ?」
昌浩は物の怪の頭を撫でながら部屋に戻ろうと笑いかける。
部屋に戻ると昌浩は物の怪を布団に入れ自分も潜り込む。
「やっぱりもっくんいるとあったかーい…」
ぎゅっと抱きしめられる感覚がして昌浩の温もりが物の怪に伝わる。
「はぁ…俺で温もるなよ…」
ちょっと怒り気味に言うが嫌じゃないらしくそのまま大人しく抱かれている。
「いいじゃんたまには…」
くすくす笑う昌浩
そしてしばらくすると規則正しい寝息が聞こえてくる。
「ふ〜やれやれ…いつまでも子供だな…」
物の怪は苦笑しながら布団から出ようとするとしっかりと体を抱かれていて動けない。