×浅き夢×

□×紅夢×
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『昌浩…』
 
優しく俺の名前を呼ぶ声…
 
 
無くしたくないと願ったばかりに…
 
 
俺は…
 
 
 
 
  「紅き夢」
 
 
 
 
真夜中…外の空気はひんやりとしている。
昌浩は隣に座っている青年に目をやる…
 
紅い髪と瞳…褐色の逞しい肌…
 
どれも全て「紅蓮」と同じなのに違う…
あの名前はもう呼べない… 
『なんだ?なんか顔についてるか?』 
 
昌浩の視線に気が付いた青年は不思議そうに昌浩を見る。
 
あぁ…こんなに近くにいるのに…君は全然違う…
昌浩は心を探られないようにっこり笑い
 
「ううん…別になんでもないよ…『騰蛇』…」
 
 
そうか…と呟き騰蛇はまた視線を庭先へとやる。
 
 
いくら泣いても…願っても紅蓮は戻ってこない…
でも…それは己が望んだ事…
 
 
 
ー辛い事…悲しい事…全部忘れて良いよ…
 
 
 
あの時…あの瞬間…
 
 
記憶も…思い出も…
 
 
全部消してしまったから… 
 
 
 
俺に…嘆く資格なんかないの…わかってる…
 
 
でも…辛いよ…『紅蓮』…
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