×浅き夢×
□×願と偽×
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剣は…刺さった…
でも…
心が揺れてしまった…
『ぐ…れん…』
『偽』
屍鬼とかした紅蓮を仕留め損ねた俺は鳩尾に拳をくらい意識を暗転させた…
どれくらい…時間がたったのだろう…
「っ……」
腹部に鈍い痛みを伴いながら体を起こす。
そこは暗く冷たい洞窟のような場所…
「紅蓮…?広陳…青龍?」
辺りは暗く自分の声しかしない
あのあと皆はどうなってしまったのか…
じい様や他の神将は?
募る不安に首を振りなんとか自分を奮い立たせると
重たい体を引きずりながら出口を目差そうとした時
『おい…』
体に金縛りがかかったように固まる。
『何処へ行くつもりだ』
この声の主を知ってる…
でも声の主はもう…
『誰が…動いていいと言った』
肩を強く引かれ無理矢理顎を持ち上げられる
紅い髪に紅い瞳…
大好きな色を持っていた人物…
「ぐれ…ん」
揺れる昌浩の瞳の中には冷笑を浮かべる知らない人物…
祈ったのは…君の幸せと…
ただ少しの「願い」だった