一冊目の物語

□2662番・芙蓉様キリリク作品。
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「えーと……?」
閻魔庁・召喚課の昼行灯職員、都筑麻斗が掴んだ紙にはこう書かれていた。

『火系式神』

指定は他には何もない。
寄生型か召喚型かの指定もランクの指定も、レベルの指定も全くない。

都筑は一瞬迷った後、召喚呪文を詠唱し始めた。

勿論、走りながらなので噛みかねない。
それでもゴールと同時に式神が出現した。



漆黒で長大な、有翼の蛇神が。



「都筑……何だったんだよ」結局、とんでもない『借り物』を引いてしまった都筑は一位だった。
借り物ではないんじゃないかと言う反対意見(いちゃもんとも言える)は借りられた物に睨まれて尻窄まりに消えていった。
「コレだよ?密」
密は都筑の取った紙を読んだ。
「…………寺杣さんに頼むって選択肢はなかったのか……?」
「えーだって貸してくれなさそうだもん」
「…………」
密が呆れ顔で黙り込んだ。
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