二冊目の物語


□正月お年玉企画
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暗闇の中で、騰蛇は目を覚ました。
目覚めてすぐ、体勢に違和感を覚えた。
左脚を見れば……足首に枷が嵌められている。
人が近付く気配を感じ、騰蛇は息を殺して近付く者に意識を集中させた。
「自由を奪われるというのは――どんな気分ですか?」
「!……!?」
予想の範疇から外れた人物がそこにいた。
名前は知らない。
都筑が現世で己を召喚した際、ナイフで刺されて血塗れになっていた白い男だ。都筑が死を望むまで追い詰めた男。
そう認識した途端、騰蛇は男を視線だけで射殺せそうな程、きつく睨んだ。
「おやおや……私は好ましくない。と、お思いの様ですね」
返事の代わりに騰蛇は足枷を破壊しようとした。
が、罅さえ入らない。それどころか返って彼自身に力が入らなくなっていた。
「おっと――その足枷には式の力を封じ込める作用が有ります。下手に暴れれば足首を痛めますよ?私から逃れる事は出来ません」
男はクスクス……と妖しく嗤う。
「……都筑は、何処にいる」「私の前で都筑さんを心配するとは…………随分余裕ですね」
唐突に不愉快そうな表情になった男が、掴んでいた鎖を強く引いた。
「……ッ!」
その先は騰蛇の首輪に繋がっていたらしく、彼は地面に顔を擦ってしまう。
見下ろす男は笑みを浮かべた。
「さぁ、どうして欲しいんですか?――都筑さんの代わりに……たっぷり可愛がってさしあげますよ」
無言で睨め上げる騰蛇の頬に冷たい感触が触れる。
騰蛇に顔を近づけた男が手にしていたのは、メスだった。
軽く頬の上を滑らせるだけで赤い筋が出来る。
滲み出す血を、男は――舐め取った。
「貴方も悪くない精気を持っていますね……都筑さんには劣りますが」
メスが肌の上を滑る。
その度に騰蛇の身体には細い筋が生まれ、血を伝わせた。
「……ッ……」
「ふふ……」
裂けて原形を留めない服を易々と剥ぎ取る。
「きさ……ま……何を……」「可愛がってさしあげます」男が妖しい笑みを深めた。「なッ……!……止……め……ろ」
指を這わせ、甘噛みする。「つ……っく……」
焦らすような触れ方で下肢を嬲られ、段々息が上がっていった。
「あぁ……貴方の弱い所は此処ですか」
「!?……う……」
びくり、と身体が跳ねる。昔の嫌な記憶が甦り、身体に力が篭った。
「ッ」
「良い表情ですね……もっと虐めたくなる。このまま貴方を閉じ込めておきましょうか……」

クスクス……

男の笑い声が耳にこびりついて離れない……。
 

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