二冊目の物語


□8100番・蟲火さんキリリク作品。
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その晩、騰蛇はなかなか寝付けなかった。
原因は真後ろにある背中である。
「………………」
「………………」
大の男二人が同じ布団に入っているというむさ苦しい事この上ない図。


事の発端は昼間まで遡る。

「蒼龍と騰蛇って仲悪い?」「あぁ全くd「そんなことはないぞ、都筑」
肯定した騰蛇の肩を抱いて蒼龍が否定した。
「チッ」
「ちょっ……今舌打ち……」「気のせいだ」
「(騰蛇の目が助けてくれって言ってるんだけどなぁ……。)どれくらい?」
「床を共にする位だ」
いつの間にか蒼龍の手は腰の辺りを撫で回している。蒼龍に対する騰蛇の視線が氷点下だ。
「へ〜」


という会話があったのだ。


「……」
おかしい。
此処は自分の屋敷だというのに、何故こんなに警戒を強いられるのか……。
後ろで蒼龍が動く度に神経を尖らせる羽目になる。
「……!」
悪寒が走った。
背を向けていた筈の蒼龍が脇腹に腕を……。
(いい加減に……しろッッ!!!!)

翌朝、都筑が騰蛇を構いに来た。
「おーい、とー……?」

都筑は遠慮なく寝室に入り面白いものを見た。
「ホントに仲良いんだ……」都筑からは抱きしめている様にしか見えなかったのだが、騰蛇は蒼龍の首を締めてるうちに寝たらしい。
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