一冊目の物語

□2121番・煉様キリリク作品。
1ページ/6ページ

現代の大学生設定です。




「いや悪いなぁ、マジで。飯まで喰わせてもらってさ」
そう言っているのは建前のみだろう。
「雨が止んだら即刻出ていけ」
「あ、今晩ずっとらしいぞ?泊めてくれんのか?」
「前言撤回だ。小降りになったら速やかに」
そこまで言った途端、外の雨音が激しさを増した。
「お!この秋刀魚旨い」
「少しは遠慮しろ。一つしかないのだぞ」
箸を払うと白虎が膨れっ面をする。
「良いじゃんか!俺お客様だぞ」
「闖入者だ」
「ちぇ。…………ってすげぇ!!この味噌汁自分で作ったのか?」
「…………不味いか」
「違う違う。やべーよ具が三つも入ってる」
「はぁ?」
普通の味噌汁だ。豆腐と若布と油揚げを入れているだけの、ただの味噌汁にこの阿呆は感動していた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ