一冊目の物語

□2442番・煉様リクエスト作品。
1ページ/5ページ

初めは、図書館で。
二回目は、電車の中で。
三回目は……――――



「貴人!」
「……!……はい」
「此処の答えは?」
しまった……。ろくに聞いてなかった。
問6はさっき終わったから……
「アンタ、アタシの授業中に居眠りするたァ良い度胸だね」
そんな事してませんよ、ちょっと現実逃避を……
「cosθ=120゚」
「正解。次!」
「5分の√3」

あ。

貴人が見ていたのはとっくに終わった問題だったらしい。
朱雀は気付かなかった様だが……。
その後は滞り無く授業が進み、昼休みになった。
「おい、貴人」
「密。そっちの子は……兄弟?」
「そーなんだy」
密の肘が、彼にそっくりな少年の脇腹にめり込んでいた。
「ひーちゃん、暴力反対…………」
「お前が誤解を招く言い方するからだ。――こいつは聖。古典と芸術のクラスが一緒なんだよ」
「へぇ……僕は貴人。よろしく」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ