一冊目の物語

□夏の睡魔に御用心!
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蝉喚く、夏真っ盛りの幻想界。



「開けろって」
「断る」
「あ、西瓜!西瓜食うだろ」「要らん」
「いいから開けろよ開けて下さい」
「敬語を使うな気味が悪い」

ギギギギギ……

騰蛇の屋敷の扉にかじりつく白虎と何としても彼の侵入を阻止しようとする騰蛇の力比べが行われていた。

体格的には騰蛇が有利な筈だが……。
「開〜け〜ろ〜よ〜」
白虎は風を起こして扉を押してくる。
しかも、気温が高いと蛇は日陰で眠る性質が有る為…………。

騰蛇は物凄く、眠い。

「ッ…………」
ともすれば眠りに落ちそうな意思を引き戻すのは白虎の喧しい声だ。
だが、段々とそれすらぼんやり聞こえるようになって来た………………。
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