二冊目の物語


□3800番・藍琉様キリリク作品。
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「騰蛇、少し痩せたのではありませんか?」
ふと、寝そべった身体を見た六合が腹回りを触った。「――!?――」
「あぁやはり……少しばかり細くなっていますね」
「お……い」
「何です?」
「それ以上、移動させるな……?」
六合が笑みを浮かべた。
「どちらにでしょうか」
逞しい腹筋を人差し指で辿る。
指はツーッと下に滑った。「止め……ろッ」
擽ったいのと嫌な予感で騰蛇の声が上擦る。
「どうせ一日中寝ていらっしゃるんでしょう?」
六合はますます笑みを含んだ声音になった。
「!……貴様……ッ」
身の(貞操の?)危険を感じた騰蛇は流石に上体を起こした。
「全く……次からは毎回こうしなければ起きて下さらないのですか?」
「…………」
六合が肩を竦めた。
自分を起こす為だけの演技だったと知り、些か顔を顰る騰蛇。
元々寝起きの機嫌はあまりよろしくない。
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