二冊目の物語


□3939番・まーむ様リクエスト作品。
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「銀龍草の局?」
「知らないか?聖。お前、よく色街フラフラしてんだろ」
「フラフラって言うな!つか何処の店だよ」
「確か……幻想……」
聖が縁側から落ちた。
「何だよ」
「バカ!そこ男遊郭じゃねぇか!!」
「あぁ何だアイツやっぱ男娼か」
「アイツって誰だよ?」
「名前は知らない。そいつが居た部屋の名前が銀龍草の局だったんだよ」
「銀龍草ねぇ……ま、知り合いに聞いてみるわ」



座敷牢のような部屋。
畳以外は全て漆黒に塗られたその部屋に、これまた黒い着流しの男が片胡座をかいていた。
「騰蛇〜」
「仕事はどうした。都筑」
「あンもぅ、冷たいなぁ……お客さんだよ」
入って来た紫の瞳の青年は殺しじゃない奴、と小声で付け足す。
「…………」
「舌打ちしないの」
騰蛇が面倒臭げに組み紐で長い黒髪を結っていると、使用人の狐太郎が格子越しに呼び掛けた。
「騰蛇殿、黒崎と名乗る少年が」
「!?」
「お通ししますかな?」
「……っ……構わん。連れて来い」
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