一冊目の物語

□鈴音様リクエスト作品。
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 騰蛇は今日も朱雀を怒らせてしまった。今ばったり遭ってしまうと天空城にクレーターが出来る可能性がある。

「………」

無駄な争いは(面倒臭いので、)したくない。そんな訳で今騰蛇は屋根の上にいた。
「お〜い騰蛇!」
そんな騰蛇を呼ぶ声…下を見ると、白虎がいる。
その後ろに人影を認めた騰蛇は屋根から墜ちた気がした。最近、朱雀とは別の意味で遭いたくない者。
「……」
「無視か!?」
白虎、後ろ後ろ!
なんて一言も言えない程に追い詰められていた。
あまり表情には出ないが。「っ…!!」
堪らず身を翻し、反対側に飛び降りる。朱雀が居ても構わないとすら思っていた。
「チッ」
「うぉあ!!いたのか蒼龍」
「お前が軽々しく声を掛けるから逃げてしまったではないか」
「え!?俺のせい!!?」
「当たり前だ」

(私の可愛い仔猫ちゃんを侫まな目で見るな!)

「(な〜んてイタイ事考えるの、蒼龍に限って有り得ないよな…)そっか…気をつける」
変な処で勘の鋭い奴である。
「あぁ(物憂げな表情が堪らなくそそるぞ…騰蛇……)」先刻見た映像を脳内でリピートするのに忙しく、上の空に返事をした蒼龍には気付かず、白虎は仕事に戻って行った。
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