一冊目の物語

□2121番・煉様キリリク作品。
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「俺作れねぇもん。インスタントの買ってるし、食堂のは具が少なくてちっちゃいんだよな〜お代わり」
「自分で取って来い」
「はいはい」
白虎が席を立つ。
雨は相変わらず横殴りだ。止むどころか弱まる気配もない。

予備の布団を敷くか。
ベッドは一つしかないので床に寝てもらう。

そんな事をつらつらと考えている内に白虎が戻って来た。
「お前料理上手いんじゃん」「五月蝿い。にやけるな」
「惚れたわ」
「箸刺すぞ」
「料理の出来る彼女って良いよな」
「……もうやらん」
「ちょ、秋刀魚くれよ!!」
白虎は身を乗り出し、騰蛇は身を引く。
「ゴメンって。でも俺は本気だぞ。お前の事、好きだ」
「生憎、俺はもう」
「嘘つき」
「な」
「秋刀魚貰いッ!」
ひょい、と白虎が皿を奪った。
(コイツ……)
「旨〜塩加減が良いよなやっぱ」
「………………野菜も喰え」「へーい」
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