*

ネタと言うか雑記と言うか…。
普通より短い話。
◆キャナリ、子供を預かる 

先日、孤児院に引き取られた小学三年生の男の子。
名はユーリ・ローウェル。
活発で誰とでも仲が良いみんなの兄貴分…と言った所か。

そんな子を、何故か成り行きで預かることになりました。



小学生といえば世話がかかる。
子供は嫌いではないけれど、自分が言っているのは紛れもない事実だ。
まだまだ遊びたい年頃、家の中で走り回ってもおかしく無いはずなのに…この子は。

「キャナリ!風呂沸いた!」

「あ、は―い!」

恐らく風呂場から響いているのだろう、小学生特有の声変わりを終えていない声が聞こえてきた。
学校から帰って来ると必ず家事を手伝ってくれるユーリ。
小学生の出来るような些細な仕事とはいえ、毎日毎日文句も言わずよくやってくれているものだと思う。
こうして独身の日常を手助けしてくれるのは、非常に有り難いことだ。
自分より出来た性格だというのが少々悔しい所だけれど、ユーリは本当に利口でいい子。
勿論そこらの小学生には負けない。
この子を預かって数日。早速気の利く可愛い子供に毒されてしまった模様。
これじゃあ親バカの気持ちもわかる、なんて。



「あのな、明日フレンとエステルと遊ぶって約束しちまった。…で、その、家に上がらせても…いいか?」

「え?ええ、勿論よ。ここはユーリの家でもあるんだし、まだ小学生なんだから沢山遊びなさい!」


お風呂タイムを終えた後は、いつも密かに心待ちにしている二人の団欒の時間。
そんな時に控えめに尋ねてきた少年。
どうやらまだ自分がこの家で世話になっていることに負い目を感じているらしい。
勝手に遊ぶ約束を取り付けたことを怒られるとでも思っていたのだろうか、笑顔で返事を返してやると安心の表情を浮かべた。
私こそユーリに世話になってるのに、何を躊躇してるんだか。それが子供なりの気遣いだと言うのは百も承知だけれど。

フレン君と、エステルちゃん(でいいのかしら…?)とは一体どんな子達なんだろう。ユーリの友人というくらいだから良い子達なんだろうなあ。

「そのお友達はどんな子なの?」

好奇心から訊いてみた。
突然質問をされたユーリはちょっと考える風に目蓋を伏せて、数秒。多分2、3秒くらい考えてから口を開く。
ユーリの伏せられた目蓋を見ながら男の子なのに睫毛が長いんだなあ、と思っていたのは本人には内緒。

「ん―、フレンはガミガミうるさいけど本当はすげえ優しい。女子にモテる。エステルは…良いとこのお嬢さんで不思議な雰囲気が漂ってる」

「へえ、そうなんだ」

「二人はみんなの注目の的だ。あいつらと一緒にいる俺でもわかるから」

「え?」

「二人と一緒にいるのは嫌じゃねえけど、ちょっとだけ居心地悪ぃ」

「……」

ユーリが言いたいことは大体わかった。 つまりは皆から人気の人物がユーリの近くにいると、嫌でも皆の視線が刺さってくる。ユーリはそれに居心地の悪さを感じる…と。
私が説明するまでもない、のだけれど。

だけれど私が思うに、それはその二人だけが注目されてる訳でないのだろう。
勿論ユーリも注目の的であることは、彼の学校生活を覗いたことのない自分にだってわかる。

だってこんな可愛いユーリが、注目されない訳無いわよ!!!




end?

はいアウトぉおお!!!
ギブアップしました-^^
ちょ、おっさん出てこねえしw

2010/12/22(Wed) 00:44 

◆小さいおっさんの妖精 

災難。
それは夜中、布団の中で寝ていた俺に降りかかった。

何故か頭上に違和感を感じた俺は、眠りたい衝動を我慢して重たい目を開いた。
ごそごそと髪が擦れ合う音が聞こえて来たのに対し、枕元に虫がいるものだと思い込んだ俺は頭でその虫を潰してしまうのを恐れて視線だけを動かしたのだが。

「んんん―、…よいしょっと!!」

「……っ!!!?」

おいおいおいちょっと待てよ明らかに今おっさんの声が聞こえたよな。
枕元にいる虫が言葉を喋る訳ない。
だが確かに声は耳元で響いた。
状況を理解しようと覚めない頭で考えてはみるが自分はこんなこと体験したこともなかったし、そもそも聞いたこともない。

そして恐る恐る視線を巡らせた先には、信じられないことに全長20センチ程のおっさんが存在していた。

「いや〜、やっぱり青年は三つ編みが似合うねえ」

「…おいテメエ」

人がビビって固まってるのに対して、なんだこのふざけたおっさんは。
ごそごそうぜえと思えば人の髪で遊んでやがったのか。
…そういえば最近になって髪が所々三つ編みにされてたんだよ。
もしかしなくてもコイツの仕業か。

おっさんに対するイラつきのお陰か、自分の中の僅かな恐怖はすぐ吹っ飛んだ。
三つ編みに夢中になって俺の目が覚めていることに気付いていないおっさんの紫色の羽織りを摘んで持ち上げる。

「ぎゃああぁあっ!?…ちょ、何、何!?どうしたの一体!!??」

「うるせえ」

「…せ、せせせ青年じゃ、ないですかっ!ど、どうも初めましてっ…!!」

「おっさん、何者だよ」

こんな小さいおっさん見たことねえ。
何だ?生まれつきか?
つか不法侵入だぞ。
つか名前とか無いのかよ。
人の髪なんて三つ編みして楽しいか?
など疑問は多数浮かんで来た。

特に不法侵入!
いい年したおっさんが俺みたいな成人済みの住まいに忍び込んで楽しいか。
忍び込むならもう少し考えろよ。
更にお構いなしに言えば、おっさんは気まずい顔でこっちを見ていた。

「…あのう、不法侵入の前にまだ大事なことがあるっしょ…?」

いや不法侵入も十分大事なんだけれどもさ!!でもそうじゃなくて何と言うか…えぇと、俺の見た目とか何かない…?

言いながらこちらの様子を伺っている、自分に比べて随分小さな若葉色の瞳。
若干小麦色の肌を汗が伝って額に薄く張り付いていた。
吊り上がっている口元も何だか不自然でお世辞にも“良い笑顔”とは言い難いものである。

「ああ、世の中にこんな胡散臭いおっさんが居たなんてな」

「そ う じゃ、なくて―!!」

「あ―、それともあれか?身長がちみっこいってことか?まあ、身長が小さいからって落ち込むなよ」

「つかさ、身長以前の問題だと思わんの!?」

おっさんが指先で摘まれているのも気にせず突然暴れ出した。
幸い大した衝撃は無く、これなら誤っておっさんを床の上に落としてしまう事もないだろう。

別におっさんが床にたたきつけられようが何しようが俺には関係ないけどな。
落ちて痛いのはおっさんだけだし。




end

最近よく小さいおっさんの妖精が出現するって話を聞くので、何となく小さいレイヴン。
小さいおっさんの妖精は夜中に人間の髪を三つ編みにするそうです。
見つかれば即逃走らしいですけど、ユーリの場合逃げられる前に捕まえてしまったんです。
おっさんの妖精が本当に居るなら会ってみたいと思う今日この頃。

2010/05/16(Sun) 00:00 

◆夢と現実 

*アレユリ。ザウデ前辺り。





「ユーリ、ユーリ」

ああ、誰かが俺を呼んでいる。
馴染みは無いが、何だか聞いたことのある声だった。
お前は誰なんだ。
何で俺の名を呼んでいるんだ。

「ああ、随分探したぞ。どこに居たんだ」

先程まで影も形もなかった筈の人。
声は同じ物。
ただそこに体が付け足されたかのように、目の前に存在していた。

「…あ」

声が出た。
紛れもない自分の声だ。
思わず声をあげたのは、目の前の人物が見知った男だったからだった。

「どうした?」

「いや、どうしたって、そのアンタは」

「ふふ、そう幽霊を見たような顔で私を見ないでくれないか。流石の私でも傷付く」

「……」

目眩を覚えた。
幽霊というか、幽霊ではないが、明らかに自分の前に姿を現すのはオカシイ。
彼は現在自分達が敵対している騎士団の最高権力者、アレクセイ・ディノイアなのだから。

「…アンタ何でここに?」

「おかしなことを訊くんだな。私達は夫婦じゃないか」

「…………はぁあああ!!???」

あまりに予想外すぎて、目を真ん丸にかっ開いて大声で叫んだ。

俺達が夫婦?
敵対しているのに夫婦?
そもそも俺もアレクセイも、どちらとも男の筈である。
アレクセイが女でない以上夫婦なんてことは絶対有り得ない。
テルカ・リュミレースの法律はそこまで腐っていない筈だった。
そんなこと、皇帝だって流石の騎士団長だってするわけがない断言できる。

「数年前に法律を改正してな。男同士でも結婚が許されるようになったのだ」

あ、そういえばコイツ騎士団長だ。

「お前も男同士の結婚が認められるようにと願っていただろう?だから私が法律を無理や…評議会に掛け合って訂正してもらったのだよ」

「オイ今無理やりって言い掛けただろ。つか俺は断じて願ってねえ。死んでも断言出来る」

いくらなんでもオカシイ。
つい最近の記憶を掘り出してみる。

…確か…あれ?

昨日はアレクセイと一緒に、洋服を買いに行ったっけなあ。
で、その後はコスプレだとか言って、言って…あれ?

「いやいやいや有り得ない絶対ありえない無理。絶対無理」

「今日は騒がしいな。何か良いことでもあったのか」

「これが良いことあった時の顔に見えるか!?ちげぇよ最悪だよあ―もうどうなってやがる俺の頭」

こんな記憶まやかしだ。
何かの間違いに違いない。
そう信じてまた別な記憶を掘り出してみた。


そう、あれは数年前の暑い夏のことだった。アレクセイと俺が互いに愛し合って随分経つ。つい先日、アレクセイにプロポーズされたのだが、テルカ・リュミレースでの同性結婚は認められていない。それをなんとかしたいとアレクセイは騎士団長の権力を最大限に生かし法律を変える為に忙しい日々を送っていた。あの日はアレクセイが仕事で中々帰って来ないので、晩飯を作って帰りをひたすら待っていたっけ。やっと仕事が終わったのか帰宅したアレクセイはいつもに増して上機嫌だったような気がする。そんな彼に疑問を感じ、どうしたのかと訊ねればこう言ったのだ。
「今日、同性結婚が認められた。私達は晴れて結婚できるのだよ!」
その言葉を聞いた俺は喜んだ。
結婚。結婚できる。嬉しすぎる。
「本当、か」
「ああ。…その、改めて言ってもいいか?」
「?」
「私に、君の一生を捧げてくれないか。君のことは私が死ぬまで幸せにすると誓う」
「アレク、セイ」
「ユーリ、愛している」
「お、俺も…!」

ああ、まさに薔薇色人生。




間。



「死ね!俺死ね!!意味わかんねえ!喜ぶな俺!!!!」

つか長っ!!回想長っ!!
薔薇色人生って何だよっ!?

「ちょ、いきなりどうしちゃったの!?」

「……あ」

目が覚めたら宿屋の一室だった。
レイヴンが焦ったようにこちらを伺っている。
そりゃあ朝っぱらから叫び声が聞こえれば誰だって焦るだろう。
俺はといえば焦るレイヴンの姿も含め、見慣れた室内を大きく見渡した。

「……ゆ、夢」

「なに?変な夢でも見た?」

「あ、ああ…」

レイヴンの言った通り変な夢だった。
変というか、妙にリアルで気持ち悪い程である。
こんなに夢を鮮明に覚えていることなんて自分には滅多にないことだ。
しかしハッキリ言うと、覚えていたくはない。
寧ろ綺麗さっぱり忘れてしまいたい。

「何の夢見たの―?」

「い、いや、覚えてねえ」

思い出したくない。
否、覚えているがこれ以上ハッキリ思い出したくないのだ。
しかも言えば絶対にドン引きされる。
不本意ながらも見てしまったものは見てしまった。
夢は願望とも言うが、この場で弁解する。
違う。
これは絶対願望なんかじゃない。
俺は望んでいない。神に誓う。





end

ザウデ突入前に意味のわからん夢を見て混乱しまくるユーリ。
途中の回想を気持ち悪く書きたかったが挫折しました。
この後ザウデでアレクセイと対面して妙に安心するんでしょうね。彼は。

2010/02/28(Sun) 00:09 

◆RaY夫婦 

※夫婦パロRaY♀





ども!こんちゃ!!
俺様はオルトレイン一家、大黒柱のレイヴンよ。
なんと今日は久しぶりの休日っつーことで、愛しの嫁さんとイチャイチャべたべたにゃんにゃんできる所謂“良い夫婦の日”ってやつ?あれ?違う?
ま、それはともかく!
少し前に奥さんが朝食を作り始めたワケであって、そろそろ俺様を寝室まで起こしに来るんだわよ!
もう、愛でもみくちゃにしちゃう☆

『おっさん―!』

お?なにやら廊下から愛しの嫁さんの声が聞こえてきたわよ!
ふふふ、さあ寝室へ来なさいハニー!

「おっさん?お―い、朝食出来たぞ」

来た来た来た!!
今日も美人!今日も可愛い!長いサラサラの髪ナイス…!!
流石俺の奥さん。

これが俺のたった一人の奥さんよ!
ユーリって言うのよ可愛い名前でしょ☆

「寝てるのか?」

ここで俺様は狸寝入り。
俺様を起こそうと奮闘するユーリに朝のキッスを強請っちゃうっていう我ながらナイスなアイデア…!

「おっさん。…レ―イヴン。飯出来たぞ」

「…ん―…」

「お、わっ!?」

俺様の体をやわく揺さぶって起こそうとするユーリをベッドの中に引きずり込んだ。
ああぁああ…このままユーリの体を貪ってやりたい…。
つか、良い匂いだわ…。

「…おっさ、んっ!!」

「…ん、もうちょっと」

「飯冷めるだろ…!つか、離れろ!!」





終われ。

なんかドン引きされそうだったのでやめました。
おっさん朝からテンション高いです。
次はマトモな夫婦を書きたい。

2010/01/10(Sun) 22:20 

◆ヘンゼルとグレーテル 

「…道に迷っちまったな…」

「…そうね―…」

俺達は夜中の森をさ迷っていた。
それもこれも、あの女将に捨てられた所為である。
一度目は月の光に反射する石を上手く使い、家まで戻ったがまた森の奥に捨てられてしまった。
念のため…と道標にしていたパンの切れ端は森の動物に食べられ、一つも残っていない。

「…お腹、減ったわ…」

「ん―、俺もなんとなく」

「ちょ、ここ数日何も食べてないのよ?…何となくは無いんじゃ」

「…別にどうだっていいだろ。それより何処か寝泊まり出来る所があれば助かるんだが…」

気付けば夜が明けて、空がうっすらと明るくなっていた。
眩しくて目を細めたが、小屋のような物が視界に入り瞼を持ち上げた。
目を凝らせば確かに前方に佇む一件の小屋。

「レイヴン、あんな所に小屋が」

「え!小屋!?」

きゃいきゃいとはしゃぐ兄に大丈夫かよ、とひとりごちた。
何故兄がしっかりしないで、俺が苦労しなきゃならないんだよ。

「…ん?何か奇妙だな」

目の前の小屋を見つめて言った。
森の奥深くにある小屋に奇妙も糞もないだろうが、その小屋は確かに奇妙だった。

「…お菓子…の家…?」

全てお菓子で造られている。
屋根から窓ガラス、壁に至るまで全てお菓子なのだ。

「…レイヴン、お菓子の家が」

「お菓子?うお―すげえなっ!でも俺様却下」

甘味好きなユーリにとって、お菓子の家は夢のような光景だが甘味が苦手なレイヴンにとっては地獄のような光景である。
兄のレイヴンが嫌がっているが、自分としては行ってみたい。


「なあ、ちょっとだけ…見に行かねえ?」

「…え―?多分俺様、3分と保たないよ」

「少し味見するだけだから。」

言いながら嫌がるレイヴンの腕を引っ張って、お菓子の家に近付いた。
造り物なんじゃないかと少し疑ったが、ちゃんと全部お菓子のようだ。
…どうやって造るんだこれ。

「…ん―、壁がカステラに窓ガラスが氷砂糖、扉がクッキーと来たか…。おいレイヴン、金槌」

「えっ、何故に」

「氷砂糖を砕くんだよ。ほら」

「もう、ユーリちゃんったらあ」

レイヴンはポケットから金槌を取り出した。
何で持っているのかと言えば…何で持っているのだろうか。

一方俺はポケットから袋を取り出した。
こちらも何故だかポケットに入っていたんだが。

「よっと」

ガツンガツン、

砕いた氷砂糖を袋いっぱいに詰め込む。
また、別の袋にカステラやらクッキーやらチョコレートやらを詰め込んだ。

これで当分は大丈夫そうだろう。
レイヴンはどうだが知らないけれど。

「…さ、レイヴン帰るぞ」

「了解―。こんな所にいたら死ぬわ」

「さっさと家に帰んなきゃ流石に――」

途端にクッキーで出来た扉が開いた。
扉といってもユーリが半分丸々取り外したので扉の役目を成していない。

どうしたのかとそちらを見やると銀髪の男が立っていた。

「誰だ!私の家を破壊するのは!!」

「…アレクセイかよ。」

「ちょっと何で名前知ってんの…!」

「だってコイツ、俺のストーカーだもん」






end

ヘンゼル→おっさん
グレーテル→ユーリ
魔女→舞茸

官能昔話を聞いて妄想が膨らむ膨らむ。
お菓子の家におっさんが入ったらゲロ吐きそうだよなあとか、ユーリだったら破壊して持って帰りそうだよなあ、とか。
何だかんだ言ってレイヴンが大好きなユーリはお菓子の家には入らないで、外を手短に破壊するのでした。
アレクセイも毎回可哀想だね。
ごめんよ(笑
おっさんとユーリのポケットは四次元。

2009/11/29(Sun) 10:00 

◆ユーリ1/2A 

らんまパロ続き。
※キャラ崩壊(?)




ラゴウを追って船に乗り込んだが、何故かザギの登場で海に放り込まれることになった。

船の室内に人の声を聞いたユーリは救出に向かい、エステルやリタ、カロルは沈んだ船を不安気に見つめる。

暫くしないうちに海面から黒い頭が姿を現した。
黒い頭――ユーリは海水を飲んだらしく、しょっぺぇなと呟いた。

船の上で見た彼より丸みを帯びている。
カプワノールで見た『水を被ると女になる』現象であった。

近くに居たカロルは、荒い息を零す兄貴分からふいと目を逸らす。
カプワノールでの一件で女性体ユーリに慣れてしまったのかエステルやリタは平然としている。

だが、頼れる兄貴分が突然女になってしまったこの状況を理解出来る程カロルは大人ではなかった。

しかも、大人の色気というものだろうか…とにかく凄いオーラを発するものだから尚更だ。

ふと、ユーリが何かを抱えていることに気がついた。
エステルが小さく声をあげる。
ユーリに支えられているその人は彼女の知り合いのようだ。

「ヨーデル…!?」

「よーでる?」

誰それ。とリタが言いかけた時だった。

「…うお!?」

動いた衝撃で海水がじゃばん、と音を立てる。
いつも聞いてるユーリの声よりも高く細い声だ。

何があったのかとそちらを凝視したが、海面からやっと顔を出している状態なので彼女(と言ってもいいのだろうか)が今どんな状況にあるかなんて見えやしない。

「ちょ、お前…っ!何して…!」

「どうしたんですっ?」

「…ぁっん、こいつ、こいつどうにかしてくれえっ!!」

辛うじて見えるヨーデルの頭はピクリともしない。
ただ、ユーリが必死にその体を引き剥がそうとしていた。
未だ状況が掴めずポカンとしていたカロルとリタだが、エステルは違った。

「ヨーデルっ!!!」

物凄い形相でユーリのもとへと泳ぎ、彼女からヨーデルをやはり物凄い力で引き剥がした。

「…エステリーゼ」

伏せていた顔がやっとあげられた。

目が覚めたのか、と訳がわからずも内心ホッとしたカロルは普段おしとやかなお姫様の怒鳴り声に体をびくりと跳ねさせた。

「ユーリに破廉恥なことは許しませんから!!」

「な、なんだってのよ…」

ふらふらなヨーデルの肩を掴みガクガクと揺さぶるエステルにリタも面食らったらしい。

「…あんた、一体何が」

「…あ―…、」

言いづらそうに頭を掻く。
未だ鬼のような形相のエステルはリタを振り返り、半ば興奮気味に叫ぶ。

「こいつ、ユーリの胸を揉んでたんですっ!!」

お姫様がこいつ、とか言うんじゃねえ。
ユーリが小さく突っ込んでいたが、突っ込み所はそこではない。

「む、むむむ胸…!?」

「…なっ!?」

耳にしたカロルとリタは顔を赤く染めた。心なしかユーリの顔も少し赤い。

「…私だってまだ、ユーリの胸を触らせてもらったことないのにいいいぃ」

「ユーリさん、あなたは命の恩人です。有難うございました。」

しかし、柔らかくて気持ちよかったですよ。

「……」

「……」

「……」

泣き叫ぶエステルとにっこり笑うヨーデル。
顔のつくりがなんとなく似ているような気がする。
ついでに性格も。

残された三人は、遠い目で二人を見つめたのだった。





―――――
ネタに詰まって書いたらんまパロでした^^
時間枠はカプワトリム前です。
ユーリがヨーデルを助けたシーンでユーリの胸を揉みまくる変態ヨーデルたま(笑
その後無事にフレンに救出されましたとさ!←

2009/11/27(Fri) 11:52 

◆逆ハー。 

※ユーリ♀女性陣♂
逆ハー状態。


「お前等…いい加減にしろ!!」

ダングレストの宿屋に叫び声が木霊した。
声の主は凛々の明星のエースにして無駄にフェロモン垂れ流し兄貴分、ユーリ・ローウェル。
いつになく苛ついている。
その原因は目の前の男共にあった。

「ちょっ…ユーリ!おっさんは悪くないのにい」

「シュヴァーン隊長!ユーリが困ってますよ!」

「俺はシュヴァーンじゃないって!」

実にユーリの距離すれすれで行われる年長者二人の喧嘩。
しかし原因はそれだけではない。

「もうユーリ、私も構って欲しいな」

「ユーリの髪纏めてみたいです」

「ぼ、僕は…別になんとも」

「もうリタってば…構って欲しいのバレバレ…」

「う…うっさいっ!!!!」

構ってほしいと言い寄ってくるジュディスに、櫛と鏡を持って微笑むエステル。
カロルにからかわれて殴りかかるリタ。
しかし、原因はまだいた。

「可愛い可愛いユーリの為に、うちはおでんを沢山作ったからの。食べるか?」

冒険家パティ。
外見は可愛いらしい少年でも本当の年齢はユーリ達より、勿論レイヴンより高いのである。
それが判明した今、ユーリはどうしたものかと悩んでいる。

「…ユーリはいい尻してるのお。どれうちの嫁にならんか?」

「ユーリと結婚するのは俺!」

「おっさんは黙っておけ」

何を間違ったのか朝っぱらからこんな様子が続いているのである。
最初こそ甘んじて受け入れていたものの、エスカレートしていったんじゃユーリも堪らないというものだ。

俺みたいな女に男7人が集って何が楽しいんだ。あ?コラ!!







end


逆ハーが書きたくなった。
ユーリ以外みんな男です。

2009/11/05(Thu) 14:06 

◆鬼畜姫本性現す 

あれは随分前――まだ旅を始めて間もない頃だった。
丁度、カロルとクオイの森で出会った時だったか。
旅を始めたばかりで資金がなく、アイテムを満足に買うことが出来なかった俺達は魔物との戦闘で苦戦を強いられることがしばしばあった。
それは仕方ないことなので、やはりエステルの回復術に頼らないとキツかった訳だ。

資金集め並びレベル強化の為、森の中をうろうろしていた時悲劇は起きた。

何体もの魔物の大群はそう簡単に倒せる訳ではない。
現にあの時も数匹の魔物から一気に攻撃を食らい、カッコ悪いが俺の体力は正直ピンチだったのだが。

「…っく、…エステル回復を…っ」

エステル作戦行動:回復に専念せよ。

「まあ、ラピード!今回復しますから!」

「……!?」

おい、体力ゲージを見てるのか…?
明らかに俺のが体力少ないだろ…!
…まあ何かの手違いとか手元が狂ったとか口が勝手にラピードの名前を出しただとか、恐らく何かを間違えたのだろう。

「…ぅ、ぐっ!…エステル回復!」

「カロル、大丈夫ですか!いま、回復しますね」

「……、」

何なんだこれは新手の嫌がらせなのか。
いや、このお姫様に限ってそんなことは無いだろう。
…いやまてよ。あの笑顔の下で何考えているかわかったもんじゃ…。
いやいやいや、ないない!ないから!!

「…く、ぅ」

やべえ…、目が霞んできやがった。
ああ、俺ってそんなに影薄いのかな。

「…ふ、後は…頼んだ、ぜ」

傾き始めた体は抵抗も無しに地面に倒れる…筈だった。

「ファーストエイド!」

「…あ?」

突然体の痛みが無くなり、おびたたしい傷は姿を消していた。
気付けば魔物の大群は全て居なくなっていた。

「大丈夫ですか?ユーリ」

にっこり。

そんな笑顔で笑われても、何て返せばいいかわからないんだが。
大丈夫ですか?って回復してくれなかったのはこのお姫様だ。

「…俺何回も、呼んだのによ」

「ああ、」

静かに怒りを表す俺とは反面、本人はにっこり笑うだけ。

「だって、ユーリの苦しんでる顔…私大好きなんです」

「…え…」


えええぇえええ―…



end


終わり方が実にすいません。
戦闘中によくある現象。
自分が一番体力少ないのにエステルが回復してくれないっていう。
実はエステルが意図的に回復してないのでは、という話でした。

2009/10/23(Fri) 08:46 

◆勘弁してくれ 

義理父アレクセイ×小学生ユーリ。
アレクセイキャラ崩壊(の予定)



アレクセイは親父の兄貴だ。
小学生の頃両親は交通事故で死んでアレクセイが代わりに俺の父親になった。
それからと言うもの、アレクセイは異常なまでに俺に絡んでくるのだ。
初めは俺と仲良くなれるように努力しているのかと、甘んじて受け止めていたが最近は少しウザい。

「ユーリ」

「なんだよ?」

「私は明日仕事で遅くなりそうだ。夕食は先に食べていていいからな」

「ああ」

大人しくしていれば普通に格好いい大人って感じがするんだが、問題はここからだ。

「ユーリ」

「…あ?なんだっつの」

余計に絡まれたくないあまり、俺は敢えて冷たくあしらっている。
大抵ならこれで興ざめするだろう。
でもこの男は違う。

「…私が遅くなると聞いて寂しくなったか?なっただろう?私は寂しくて寂しくて吐血しそうだよ」

「…勝手にしてろよ」

「ユーリは放置プレイが好みなのかな?だが私は寂しいのだy」

「あっそ」

兎に角、毎度毎度嫌になってくる。
誰か俺を救ってくれる救世主はいないのか!
まじで、本当に勘弁してくれ!



end


没作。
本当は優しいアレクセイとアレクセイに懐くユーリの話だったのに、何がどうなってこんな話になったんでしょうか…。
文才の無さにも程がある^^

2009/10/20(Tue) 22:15 

◆ユーリ1/2 

いつだったか、俺は小さな池に落っこちたことがあった。
なんでそんなに不注意だったのか昔の自分を恨みたい所だ。
池から這い上がってみれば、どういうことだか俺は……。





「ユーリ!早くっ!」

「ん?ああ」

フレンを追ってエフミドの丘を越えた俺達は、港町――カプワ・ノールへ向かっていた。
カロルは早く宿で休みたいのか歩く速度が普段より速い。

どこまでも澄み切った青い空を見渡すが、雨が降りそうな感じはなかった。
…なんで雨を心配するかって?
それは、変な俺の体質を誰にも見られたくないからだった。

エステルとリタもエフミドの丘での戦闘が堪えたのだろう。
顔に“休みたい”とハッキリ書かれていた。

「…よし、じゃあさっさとノール港へ行きますか」

「うん!」

ノール港はもう目と鼻の先だ。
こんなところでへばってなんていられない。


やっとの思いでノール港に到着した。
うん、今日も港町は賑やか快晴!!
と叫びたいところだが、そうも言ってられないみたいだった。

港町に到着した途端、雲行きが怪しくなって来たのだ。
…これはマズイ…!!
このままでは、この異常な体質がみんなにバレてしまうではないか。


「…あ、なんか一気に雲行きが怪しくなって来たね」

「そうですね…。雨が降らないうちに、宿屋を…」

言っているうちにもポツリポツリと滴が空から降ってくる。
何で今日はこんなに運が悪いんだ…。
もう本気で、泣きたい。

急激に勢いを増した雨は、そう簡単には止みはしない。

(…は、もういいや)

バケツをひっくり返したような雨で自分の体はすでにびしょびしょだ。
ついでに、開いた胸元を見ると2つの膨らみが。
服で締め付けられて、胸が苦しい。
この大きさには男として喜んでいいのか、泣いていいのかさえわからない。

「ティグル!もうやめて!今度こそはあなたが死んじゃう!!」

「…じゃあうちの子はどうなるんだ、ケラス!!」

「ユーリ、あそこで人が…」

ゆっくりと後ろを歩いていた俺を、エステルが振り返った。
一応ごまかし程度に腕を組んでみたが、効果は無かったようだ。
エステルの言葉は完全に途切れた。

「ゆゆゆゆユーリ…?な、何で、あの…その…」

「…どうしたのさ?って、ユーリ!?」

「な、どうしたのよその格好…!?」

「…あ―いや、その…」

どうしたと聞かれても困る。
やっぱり最初から説明しなきゃいけないか…?




end

ら●ま1/2パロ。
水を被ると女になるという、おいしいユーリでした。
本当は男の子なんですよ。
ユーリのおぱーいはデカい方がいい。
個人的には…!!

2009/10/16(Fri) 20:56 

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