月影の訪問者(番外編集)
□中学時代の話 その1
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そこは特にレベルが高いわけでも、有名なわけでもない
ただ、近いから
それだけの理由でその学校に通うことになった
「・・・」
瀬名幸尋は慣れない学ランの袖に腕を通す
「・・・やっぱ似合わねぇ」
自宅の大きな鏡を見ながら微苦笑する
身長は決して高くないが低くはない
顔は童顔で体はやや痩せ型
正直、未だに小学生に間違われてもおかしくはない
そのうち背が伸びるだろうと買った大きめの学ランは彼には少しどころかかなり大きめだった
「幸尋ー!あんた早くしなさいよー!始業式から遅刻する気?」
「わかってるよ!」
幸尋は何も入っていない鞄を持って玄関へ駆けた
「幸尋も制服着ると大人に見えるなぁ」
「うるせー。んじゃ行ってきまーす」
真新しい靴を履いて幸尋は家を出た